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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

May 14, 2009
Vol. 360 No. 20

ORIGINAL ARTICLE

  • 高齢の早期乳癌女性に対する補助化学療法
    Adjuvant Chemotherapy in Older Women with Early-Stage Breast Cancer

    この試験では,65 歳以上の乳癌女性に対する補助化学療法として,標準的多剤化学療法とカペシタビン単剤療法を比較した.すべての検証において,多剤療法はカペシタビン療法よりも無再発生存率と全生存率が優れていた.臨床的に問題となる併存疾患がみられない高齢女性では,有害事象が増加することなく,乳癌の化学療法を忍容できる.

  • 心房細動患者に対するクロピドグレルとアスピリンの併用療法の有効性
    Effect of Clopidogrel Added to Aspirin in Patients with Atrial Fibrillation

    この無作為化試験では,心房細動で脳卒中のリスクが高いが,ビタミン K 拮抗薬が適応とならない患者 7,554 例を,アスピリン単独投与群とアスピリン+クロピドグレル併用群に割り付けた.中央値 3.6 年で,主要血管イベントのリスクはクロピドグレル群で有意に減少したが,これは主に脳卒中のリスクが減少したためであった.クロピドグレル群では重大な出血のリスクが有意に増加した.

  • 細気管支炎の乳児に対するエピネフリンとデキサメタゾンの併用療法
    Epinephrine and Dexamethasone in Children with Bronchiolitis

    細気管支炎は,鼻汁,咳嗽,喘鳴,呼吸困難,低酸素血症を臨床的特徴とし,生後 1 年以内の乳児が多数罹患するが,十分に確立された有効な治療法はまだ存在しない.この 2×2 要因デザイン試験では,エピネフリン吸入とデキサメタゾンの経口投与について,単独療法と併用療法の効果をプラセボと比較した.驚くべきことに,臨床上の有益性が認められたのは併用療法群のみであった.頻度の高い細気管支炎に対する最善の治療法を明らかにするには,今後さらなる大規模試験を実施する必要がある.

  • サソリ刺傷による神経毒性症状を呈する重症小児に対する抗毒素投与
    Antivenom for Critically Ill Children with Neurotoxicity from Scorpion Stings

    サソリ刺傷による神経毒性症状がみられる小児 15 例を対象に無作為化試験が行われた.サソリに特異的な抗毒素の投与を受けた小児は,プラセボの投与を受けた小児に比べ神経学的な徴候と症状の消失が速やかであり,また,ミダゾラムの投与量が少なかった.

BRIEF REPORT

  • シカダニウイルス脳炎の死亡例
    Fatal Case of Deer Tick Virus Encephalitis

    マダニは,ボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi),アナプラズマ・ファゴサイトフィルム(Anaplasma phagocytophilum),バベシア・ミクロチ(Babesia microti)などさまざまな病原体をヒトに媒介する可能性がある.あらたに,可能性があるとして,シカダニウイルスがマダニで見つかった.このウイルスは,ポワッサンウイルス系統 I のごく近縁のフラビウイルスである.この報告では,シカダニウイルスが,慢性リンパ性白血病患者において致死的な脳炎の原因となることが示されている.

CLINICAL PRACTICE

  • 爪真菌症
    Fungal Nail Disease

    68 歳の男性が,左足母趾の爪の変化を報告している.この 2 年間で末端が変色した.また,厚くなって切りにくく,特定の靴で歩くと痛みがあった.それ以外には男性は健康である.身体診察では,爪は厚みを増しているようであり,爪の下に黄色くぼろぼろしたものがみられ,付け根より爪先のほうが変色が強かった.周囲の皮膚は正常であるが,小趾の趾間部が浸軟されている.この症例をどのように管理すべきであろうか?

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • 心停止後昏睡状態の男性
    A Man with Coma after Cardiac Arrest

    25 歳の男性が,心停止後に昏睡状態に陥り当院に搬送された.心肺蘇生法が行われ,結節調律は安定した.到着時,患者は意識不明であった.積極的治療にもかかわらず,患者は脳死基準を満たし,家族が臓器提供に同意した.摘出手術の際に,結腸に肥厚部位が認められた.診断手技が行われた.