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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

June 18, 2009
Vol. 360 No. 25

ORIGINAL ARTICLE

  • ブタ由来新型インフルエンザ A(H1N1)ウイルスのヒトでの出現
    Emergence of a Novel Swine-Origin Influenza A (H1N1) Virus in Humans

    4 月 15 日と 4 月 17 日に,ブタ由来の新型インフルエンザ A(H1N1)ウイルスが,米国の疫学的に関連のない 2 例の患者で同定された.同一のウイルス株が,メキシコ,カナダなどで同定された.この報告では,米国で 5 月 5 日までに確定されたすべての症例について,関連する臨床症候群と主なウイルス学的特徴を詳述している.

  • 米国におけるトリプル再集合体ブタインフルエンザ A(H1)のヒト感染 ― 2005~2009 年
    Triple-Reassortant Swine Influenza A (H1) in Humans in the United States, 2005-2009

    インフルエンザは,ヒト,トリ,ブタなど複数の異なる宿主に感染することが知られている.インフルエンザウイルスのゲノムは,各種宿主の株間での迅速な組換えが可能な構成になっている.この報告では,ブタ由来の新型インフルエンザウイルスのヒトへの散発感染例 11 例について検討し,その臨床像とウイルス学的特徴を明らかにしている.

  • 全妊娠女性を対象とする B 群連鎖球菌のスクリーニングの評価
    Evaluation of Universal Antenatal Screening for Group B Streptococcus

    侵襲性 B 群連鎖球菌疾患は,生後 1 週間に起こる疾患の主な原因の 1 つである.米国では 2002 年に,全妊娠女性を対象とした培養スクリーニングを妊娠第 3 期に行うよう勧告された.この研究は,この方針が B 群連鎖球菌疾患の発症率の低下に関連していることを示している.予防的治療を行えば,利益が得られる可能性のある集団が同定されている.

BRIEF REPORTS

  • FCN3 変異とフィコリン-3 欠損に関連する免疫不全
    Immunodeficiency Associated with FCN3 Mutation and Ficolin-3 Deficiency

    この報告では,重度の細菌性肺感染症,気管支拡張症,肺線維症,疣贅,脳膿瘍を繰り返し発症する男性について述べている.この男性は,フィコリン-3 をコードする FCN3 遺伝子の変異がホモ接合である.フィコリン-3 は,細菌の表面分子とアセチル化化合物を結合し,死細胞の隔離と除去に関わる補体レクチン経路を活性化する分子であるが,その欠損により,免疫不全疾患が引き起こされる可能性がある.患者の血清からフィコリン-3 は検出されなかった.

CLINICAL THERAPEUTICS

  • 多発性骨髄腫に対する自家造血幹細胞移植
    Autologous Hematopoietic Stem-Cell Transplantation for Multiple Myeloma

    59 歳の男性が,多発性骨髄腫と診断されている.寛解導入療法の後,メルファラン大量投与+自家造血幹細胞移植が推奨されている.支持療法としての自家造血幹細胞移植により,致死的となりうるメルファラン大量投与が可能となり,骨髄腫の寛解率が改善される.この方法は,重大な併存疾患のない,比較的若年の患者にのみ適応と考えられている.

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • 食道胃接合部癌を呈する女性
    A Woman with Carcinoma of the Gastroesophageal Junction

    63 歳の女性が,食道胃接合部腺癌の治療のため受診した.嚥下障害が 2 ヵ月前に発現した.内視鏡,X 線,病理検査による評価では,バレット食道を伴う食道胃接合部腺癌が明らかになり,局所リンパ節への転移が疑われた.治療計画が立てられた.

CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH

  • 腫瘍の低酸素に一撃
    A Hit on Hypoxia in Tumors

    腫瘍血管の内側を覆う内皮細胞の酸素センサーを遮断することで,腫瘍と内皮の低酸素状態を改善し,転移を抑制できる可能性がある.