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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

October 8, 2009
Vol. 361 No. 15

ORIGINAL ARTICLE

  • 心筋梗塞後早期の除細動器の植込み
    Defibrillator Implantation Early after MI

    心筋梗塞後の高リスク患者に対して,早期に除細動器の植込みを行うことで,心臓突然死のリスクは低下したが,突然死以外の心臓死のリスクは逆に増加した.早期に除細動器植込みを行っても全死亡率には影響がなく,したがって心筋梗塞後の高リスク患者に対してこの介入は推奨できない.

  • 肝癌における microRNA の発現と生存期間,およびインターフェロンに対する反応
    MicroRNA Expression, Survival, and Response to Interferon in Liver Cancer

    著者らは,肝細胞癌患者の腫瘍組織と正常肝組織における microRNA の発現量を測定した.その結果,肝組織における miR-26 発現量は,男性より女性のほうが高いこと,正常組織よりも腫瘍組織のほうが低いことが認められた.腫瘍内の miR-26 発現量が低い患者は生存期間がより短かったが,インターフェロン療法に対する反応はより良好であった.

  • 常在糸状虫感染に対するドキシサイクリン
    Doxycycline for Mansonella perstans Infection

    リンパ系フィラリア症を引き起こす常在糸状虫(Mansonella perstans)感染に対する有効な治療法はない.この試験では,患者を,細胞内共生細菌ボルバキアを標的としてドキシサイクリンを 6 週間投与する群と,治療を行わない群に無作為に割り付けた.12 ヵ月の時点で,常在糸状虫によるミクロフィラリア血症が検出されなかった患者数は,ドキシサイクリン群では 69 例中 67 例(97%)であったのに対し,無治療群では 63 例中 10 例(16%)であった.

BRIEF REPORT

  • オステオプロテジェリンに対する中和自己抗体に関連する骨粗鬆症
    Osteoporosis Associated with Neutralizing Autoantibodies against Osteoprotegerin

    セリアック病患者で,重度の骨粗鬆症と骨代謝マーカー高値を呈する男性に,オステオプロテジェリンに対する自己抗体が検出された.この自己抗体は,核因子 κB 受容体活性化因子によるシグナル伝達に対する,オステオプロテジェリンの阻害作用を遮断する.骨粗鬆症はセリアック病治療には反応しなかったが,ビスホスホネート療法により完全に回復した.

SPECIAL ARTICLE

  • 利益相反の開示の正確性
    Accuracy of Conflict-of-Interest Disclosures

    米国整形外科学会の 2008 年年次総会に参加した医師の利益相反の開示の正確性を評価したこの調査では,全体の開示率は 71.2%であった.学会の発表テーマに直接関連する報酬の開示率は 79.3%,間接的に関連する報酬の開示率は 50.0%であった.

MOLECULAR ORIGINS OF CANCER

  • DNA 損傷,加齢,癌
    DNA Damage, Aging, and Cancer

    この総説では,細胞が DNA 損傷をどのようにして修復するかを説明している.また,DNA 損傷は加齢と癌に関与し,その転帰は DNA 損傷の種類と数に左右されるという根拠を提示している.DNA 修復機構の異常に関連する早老症候群の例と癌の例が対比されている.

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • 腹部膨満とショック状態を呈する男性
    A Man with Abdominal Distention and Shock

    26 歳の男性が腹部膨満とショック状態のため当院に入院した.その前夜に軽度の腹痛が発現するまで異常はみられなかった.翌日腹痛は激しくなり,意識を喪失した.救急部において,血圧低下と,腹部の膨満・硬直がみられた.画像検査では,結腸が著しく拡張していたが,局所の閉塞はなかった.男性には統合失調症の既往があり,複数の薬剤を服用していた.

CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH

  • 灰白質と多発性硬化症
    Gray Matter and Multiple Sclerosis

    コンタクチン-2 は,中枢神経系で発現する蛋白である.最近の研究により,コンタクチン-2 に対する抗体が一部の多発性硬化症患者で認められ,灰白質の疾患にいくらか関与している可能性が示唆されている.

VIDEOS IN CLINICAL MEDICINE

  • 骨髄穿刺と骨髄生検
    Bone Marrow Aspiration and Biopsy

    骨髄穿刺と骨髄生検

    骨髄穿刺は,細胞形態評価や,骨髄検査のために実施される.骨髄生検は,骨髄や疾患の範囲に関する情報を得るため,同時に行われることが多い.このビデオでは両手技を実演する.