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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

August 19, 2010
Vol. 363 No. 8

ORIGINAL ARTICLES

  • 転移性黒色腫患者の生存期間のイピリムマブによる改善
    Improved Survival with Ipilimumab in Patients with Metastatic Melanoma

    著者らは,転移性黒色腫患者 676 例を対象に,抗 CTLA-4 抗体イピリムマブ単独投与,イピリムマブ+gp100 ワクチン投与,gp100ワクチン単独投与のいずれかを行った.イピリムマブ投与患者では,gp100 ワクチンの併用・非併用にかかわらず,gp100 ワクチン単独投与患者と比較して生存期間が約 4 ヵ月長かった.免疫関連有害事象がみられ,重度の例もあったが,多くは適切な治療により回復した.

  • 生体腎移植ドナーの健康転帰における人種間のばらつき
    Racial Variation in Medical Outcomes among Living Kidney Donors

    2 つのデータベースをリンクさせて行ったこの後ろ向き研究により,黒人とラテン系アメリカ人の生体腎移植ドナーは,ともに腎提供後の高血圧,薬物療法を要する糖尿病,慢性腎臓病の相対リスクが白人ドナーよりも高く,米国の一般集団と類似したリスクパターンを示した.人口統計学的に多様な生体腎移植ドナーの健康転帰について,さらに注意を向ける必要性が示された.

  • 転移性癌患者に対する早期緩和ケア
    Early Palliative Care for Patients with Metastatic Cancer

    この研究では,転移性肺癌患者を,癌の標準治療のみを受ける群と,標準治療に加えて症状のコントロールと患者・家族への心理社会的支援に焦点をおいた早期緩和ケアを受ける群のいずれかに無作為に割り付けた.早期緩和ケア群のほうが,抑うつ症状の発生率が低く,QOL と気分スコアが良好であった.また,標準治療群に比べて,終末期に積極的治療を受けることが少なかったが,驚くべきことに生存期間は有意に長かった.

  • 線維筋痛症に対する太極拳の無作為化試験
    A Randomized Trial of Tai Chi for Fibromyalgia

    この 12 週間の単盲検無作為化対照試験では,線維筋痛症の患者 66 例を対象に,古式楊式太極拳と,対照とした健康教育・ストレッチによる介入とを比較した.太極拳群では,対照群と比較して有意な改善が認められ,有害事象はみられなかった.

CLINICAL PRACTICE

  • 喘息の救急治療
    Emergency Treatment of Asthma

    前年に喘息で集中治療室に 2 回入室した 46 歳の女性が,上気道疾患が 4 日間続き,呼吸困難と喘鳴が 6 時間続いたため受診した.吸入ステロイドが処方されていたが,症状が現れたときにのみ処方薬を服用しており,服用することはまれであった.通常はアルブテロール(サルブタモール)を 1 日 2 回使用しているが,この 3 日間は 1 日 6~8 回に増やしていた.救急部ではこの症例をどのように管理すべきであろうか?

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • 腹痛とショックを呈する女性
    A Woman with Abdominal Pain and Shock

    24 歳の女性が,腹痛とショックのため他院から転送されてきた.腹部 CT で腹水,小腸の一部の肥厚,腸間膜リンパ節腫大を認めた.開腹にて 2 ヵ所の小腸壊死を認め,切除を行った.広域スペクトルの抗菌薬療法にもかかわらず重篤な状態が続いた.入院 7 日目に,診断のための検査の結果を受け取った.

SPECIAL REPORT

  • HPV 予防接種の義務付け
    HPV Vaccination Mandates

    2006 年と 2007 年に,ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの接種も入学時に義務付けるという法案が 24 州で提出されたが,採択されたのは 2 法案のみであった.義務付けの採択を阻んだ要因には,ワクチンの新しさ,性感染する HPV の性質,政策決定に製薬会社が関与していること,予防接種に対する反対運動などがあった.