- 目 次
-
This Week at NEJM.org
NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.
June 3, 2021
Vol. 384 No. 22
This Week in the JOURNAL
ORIGINAL ARTICLES
-
心臓手術中の左心耳閉鎖術
Left Atrial Appendage Occlusion during Cardiac Surgery無作為化試験で,心房細動患者 4,811 例が,ほかの適応で行われる心臓手術中に左心耳閉鎖術を受ける群と受けない群に割り付けられた.3 年の時点で,患者の 77%が経口抗凝固薬を継続していた.3.8 年の時点で,脳梗塞または全身性塞栓症のリスクは,閉鎖術を受けた群のほうが受けなかった群よりも有意に低かった.
-
ChAdOx1 nCoV-19 ワクチン接種後の血栓症
Thrombosis after ChAdOx1 nCoV-19 Vaccinationこの症例シリーズでは,ChAdOx1 nCoV-19 ワクチン接種後に生じた,非常にまれであるが生命を脅かす病態が報告されている.初回接種後 5~16 日以降に,血小板減少症,播種性血管内凝固症候群,血栓症に一致する症状が接種者の一部に出現した.最悪の転帰をとった脳静脈洞血栓症の 1 例も含まれた.血小板活性化能をもつ抗血小板第 4 因子(PF4)抗体が原因と思われ,免疫グロブリン静注療法が治療法となる可能性がある.
-
浸潤性尿路上皮癌に対する術後補助療法としてのニボルマブ
Adjuvant Nivolumab for Invasive Urothelial Carcinoma根治手術を受けた尿路上皮癌患者を対象とした前向き無作為化試験で,術後補助療法としてニボルマブとプラセボが比較された.無病生存期間の中央値はニボルマブ群 20.8 ヵ月,プラセボ群 10.8 ヵ月であった.グレード 3 以上の治療関連有害事象はニボルマブ群の 17.9%に認められた.
-
マリにおける髄膜炎菌 X ワクチン
Meningococcal X Vaccine in Mali髄膜炎菌感染症は,依然として世界中でさまざまな病態をもたらす主要な原因の一つである.マリからの報告で,5 つ目の血清型 X 群を含む新しい髄膜炎菌ワクチンが,標準的な髄膜炎菌ワクチンよりも高い抗体価を誘導することが示された.
-
短報:ChAdOx1 nCoV-19 ワクチンと免疫性血栓性血小板減少症
Brief Report: ChAdOx1 nCoV-19 and Immune Thrombotic Thrombocytopeniaこの報告では,医療従事者を対象とした ChAdOx1 nCoV-19 ワクチン接種後に出現した,非常にまれであるが生命を脅かす病態が記述されている.初回接種後 10 日以内に,5 例に血小板減少症と血栓症が認められた.これには最悪の転帰をたどった脳静脈洞血栓症も含まれた.原因と思われるのは血小板活性化能をもつ抗血小板第 4 因子(PF4)抗体であり,免疫グロブリン静注療法が治療法となる可能性がある.
CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH
-
過敏性腸症候群と免疫
Irritable Bowel Syndrome and Immunityモデルマウスに基づく最近の知見では,過敏性腸症候群患者において,腹痛に関連する症状の根底に末梢の免疫機構がある可能性が示唆されている.
Videos, Images, and Multimedia
IMAGES IN CLINICAL MEDICINE
-
発話によって誘発される心房頻拍
Speech-Induced Atrial Tachycardia58 歳の男性が,発話時にのみ出現する浮動性めまいと動悸を訴えて受診した.持続心電図モニタリング(動画で示す)で,患者が孤立単語を発しているときに心房性期外収縮,完全文を話しているときに持続性心房頻拍が認められた.
CLINICAL PRACTICE AUDIO
-
HIV 感染 ― スクリーニング,診断,治療
HIV Infection ― Screening, Diagnosis, and Treatmentヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染のスクリーニングは全員に行い,リスクが高い人には検査を繰り返し行うことが推奨される.感染者は,関連する感染症のスクリーニングや,治療アドヒアランスを妨げる可能性のある社会的要因の検討を含む,包括的評価のために速やかに専門機関に紹介され,抗レトロウイルス療法が開始されるべきである.
CLINICAL PROBLEM-SOLVING
-
高血圧による「ハートブレイク」
Hypertensive Heartbreak慢性膝痛を有する 61 歳の男性が,待期的人工膝関節全置換術のための評価を受けた.術前受診時の血圧は 178/92 mmHg であった.術後 1 日目の理学療法時に,血圧が 216/99 mmHg に上昇し,心拍数は 141 回/分であった.この記事には動画が付属する.
NEJM QUICK TAKE
-
尿路上皮癌の生存期間を延長させる
Prolonging Survival in Urothelial Carcinoma筋層浸潤性尿路上皮癌の標準治療である根治手術は,治癒を目的として行われるが,50%を超える患者で致死的な転移再発をみる.術後補助化学療法により無病生存期間が延長する可能性があるが,ルーチンの治療法に関するコンセンサスは生まれていない.新しい研究知見が短い動画にまとめられている.
PERSPECTIVE AUDIO INTERVIEW
-
女性の健康を支援する
Supporting Women’s HealthCynthia Stuenkel が,女性の健康という領域における,医療面・政策面での前進と,継続的な課題について論じている.