- 目 次
-
This Week at NEJM.org
NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.
September 23, 2021
Vol. 385 No. 13
This Week in the JOURNAL
ORIGINAL ARTICLES
-
アフリカにおけるアルテミシニン耐性マラリア
Artemisinin-Resistant Malaria in Africaアルテミシニン化合物は世界のマラリア治療戦略の支柱であるが,東南アジアで耐性株が出現している.この報告では,ウガンダ北部におけるアルテミシニン耐性熱帯熱マラリア原虫株の出現を報告している.kelch13 遺伝子で主な変異が観察された.
-
NVX-CoV2373 ワクチンの安全性と有効性
Safety and Efficacy of NVX-CoV2373 Vaccine15,000 例を超える参加者を対象とした第 3 相試験で,SARS-CoV-2 の遺伝子組換えナノ粒子ワクチン NVX-CoV2373 を 21 日間隔で 2 回接種したところ,Covid-19 に対するワクチンの有効率は 89.7%であった.反応原性(副反応)は全体的に軽度で一過性であり,有害事象の発現頻度とグレードは低かった.
-
2 つの抗体を組み合わせた製剤の皮下注射と Covid-19
Subcutaneous Antibody Combination and Covid-19SARS-CoV-2 感染者の家庭内接触者は,感染のリスクがある.発端患者の感染が検出されてから 4 日以内に,家庭内接触者に 2 つの抗 SARS-CoV-2 モノクローナル抗体を組み合わせた製剤の皮下注射を 1 回行ったところ,曝露後 28 日間の感染リスクが 2/3 低減した.
-
ぶどう膜悪性黒色腫に対するテベンタフスプ
Tebentafusp for Uveal Melanoma転移性ぶどう膜悪性黒色腫は確立された標準治療のない,進行の早い疾患である.可溶性の T 細胞受容体二重特異性蛋白であるテベンタフスプを評価した無作為化試験で,1 年全生存率はテベンタフスプの投与を受けた患者では 73%であったのに対し,試験担当医師の選択した治療を受けた患者では 59%であった.
REVIEW ARTICLE
-
中皮腫
Mesothelioma中皮腫の大部分は胸膜から発生し,アスベスト曝露が原因である.アスベスト対策により発生率は若干低下しているが,死亡率は依然として高く,診断の遅れと治療耐性が一因となっている.ペメトレキセドとシスプラチンの併用と免疫チェックポイント阻害薬が,生存期間をわずかに延長させている.
CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL
-
発熱および発達退行を呈する男児
A Boy with Fever and Developmental Regressionヒルシュスプルング病を有する 12 ヵ月の男児が,発熱,全身の脱力,間欠的なびまん性の発疹,はいはいの退行のため入院した.男児には白血球増加,血小板増加,赤血球沈降速度の上昇が認められた.腹部 CT でびまん性リンパ節腫脹が確認された.診断検査が行われた.
CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH
-
HER2 変異陽性乳癌とチロシンキナーゼ阻害薬に対する耐性
HER2-Mutated Breast Cancer and Resistance to TKI最近の研究では,HER2 変異陽性乳癌で,HER3 における変異の発現を介して,HER2 と HER3 の二量体化が促進され,HER2 のチロシンキナーゼドメインを阻害する薬剤への耐性が出現する可能性があることが示唆されている.HER3 変異によりシグナル伝達が増強される.この研究では,変異した HER3 が介在する耐性を克服するための特定のアプローチが支持されている.
Videos, Images, and Multimedia
IMAGES IN CLINICAL MEDICINE
-
東洋眼虫症
Ocular Thelaziasis34 歳の男性が,右眼の異物感と痒みを訴えて受診した.細隙灯顕微鏡検査で上眼瞼の下に 2 匹の虫が確認された(動画で示す).虫は摘出され,東洋眼虫(Thelazia callipaeda)と同定された.
NEJM QUICK TAKE
-
NVX-CoV2373 Covid-19 ワクチン
NVX-CoV2373 Covid-19 VaccineSARS-CoV-2 感染による疾患と死亡を防ぐには,安全かつ有効なワクチンが必要である.早期の臨床データでは,ウイルスのスパイク蛋白とアジュバントを含有する遺伝子組換えナノ粒子ワクチンが有望であることが示された.新しい研究知見が短い動画にまとめられている.
-
転移性ぶどう膜悪性黒色腫に対するテベンタフスプ
Tebentafusp in Metastatic Uveal Melanoma転移性ぶどう膜悪性黒色腫患者の生存率は低い.可溶性の二重特異性蛋白であるテベンタフスプは,第 2 相試験で有望な結果が得られた.第 3 相試験ではさらに,全生存への利益が評価された.新しい研究知見が短い動画にまとめられている.
PERSPECTIVE AUDIO INTERVIEW
-
Covid-19 対策に対する法的な異議申し立て
Legal Challenges to Covid-19 MeasuresMichelle Mello が,Covid-19 下の緊急命令に関連した訴訟事例と,公衆衛生法の今後について論じている.