The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

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日本語サマリーBRIEF REPORT

ワクチン接種完了後の SARS-CoV-2 変異株への感染
Vaccine Breakthrough Infections with SARS-CoV-2 Variants

E. Hacisuleyman and Others

重症急性呼吸器症候群コロナウイルス 2(SARS-CoV-2)の新たに出現する変異株は,臨床上の懸念である.BNT162b2 ワクチン(ファイザー社-ビオンテック社)または mRNA-1273 ワクチン(モデルナ社)の 2 回目の接種を受けてから 2 週間以上経過していた 417 例の集団で,ワクチン接種完了後の感染(ブレイクスルー感染)が生じた女性 2 例を同定した.この 2 例にはワクチンの有効性を示す所見が認められていたものの,新型コロナウイルス感染症の症状が現れ,ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)検査で SARS-CoV-2 陽性と判定された.ウイルスの塩基配列解析により,臨床的に重要である可能性のある変異が検出され,E484K が 1 例で,3 つの変異(T95I,del142-144,D614G)が両例で検出された.これらの観察結果は,ワクチン接種完了後の症状発現,および変異ウイルスへの感染のリスクの可能性があることを示し,今後も感染を予防・診断する取組みと,ワクチン接種者が感染した変異株の特徴を明らかにする取組みを継続することを支持している.(米国国立衛生研究所ほかから研究助成を受けた.)

オリジナルサイト(DOI: 10.1056/NEJMoa2105000)