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シアトル地域の重症患者における Covid-19 ― ケースシリーズ
Covid-19 in Critically Ill Patients in the Seattle Region — Case Series

P.K. Bhatraju and Others

背景

2020 年 2 月,ワシントン州で新型コロナウイルス(Covid-19)の市中感染が確認された.

方 法

重症急性呼吸器症候群コロナウイルス 2(SARS-CoV-2)への感染が確認され,シアトル地域にある 9 ヵ所の病院の集中治療室(ICU)に入室した患者を同定した.臨床データは診療録レビューにより入手した.今回報告するデータは,2020 年 3 月 23 日までに得られたものである.各患者を 14 日間以上追跡した.

結 果

Covid-19 確定例 24 例を同定した.年齢の平均(±SD)は 64±18 歳,男性 63%,症状は入院の 7±4 日前に出現した.とくに多くみられた症状は咳嗽と息切れであり,患者の 50%に入院時に発熱がみられ,58%は糖尿病を有していた.全例が低酸素性呼吸不全で入院し,75%(18 例)が人工呼吸管理を必要とした.患者の大部分(17 例)で血圧低下もみられ,昇圧薬を必要とした.インフルエンザ A,インフルエンザ B,その他の呼吸器系ウイルスの検査で陽性の患者はいなかった.患者の半数(12 例)が ICU 入室 1 日目から 18 日目のあいだに死亡した.このうち 4 例は,入院時に蘇生不要指示を出していた.生存していた 12 例のうち,5 例は退院し,4 例は ICU を退室したものの入院を継続し,3 例は ICU で引き続き人工呼吸管理を受けた.

結 論

シアトル地域で Covid-19 の集団発生が起こった最初の 3 週間に,ICU 入室の理由として多かったのは,人工呼吸管理にいたる低酸素性呼吸不全,昇圧薬を必要とする血圧低下,またはその両方であった.これらの重症患者の致死率は高かった.(米国国立衛生研究所から研究助成を受けた.)

英文アブストラクト(DOI: 10.1056/NEJMoa2004500)