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重症 Covid-19 肺炎の入院患者に対するトシリズマブ
Tocilizumab in Hospitalized Patients with Severe Covid-19 Pneumonia

I.O. Rosas and Others

背景

新型コロナウイルス感染症(Covid-19)は,インターロイキン-6 の上昇をはじめとする免疫調節障害や過剰な炎症反応を伴う.重症 Covid-19 肺炎患者に抗インターロイキン-6 受容体モノクローナル抗体トシリズマブを使用した場合に,より良好な転帰をたどることが症例報告や後ろ向き観察コホート研究で示されている.無作為化プラセボ対照試験のデータが必要である.

方 法

第 3 相試験で,重症 Covid-19 肺炎で入院した患者を,トシリズマブの単回の静脈内投与を行う群(用量 8 mg/kg 体重)とプラセボ投与を行う群に 2:1 の割合で無作為に割り付けた.参加者の約 1/4 が,トシリズマブまたはプラセボの 1 回目の投与から 8~24 時間後に 2 回目の投与を受けた.主要転帰は,修正 intention-to-treat 集団における 28 日目の臨床状態とし,1(退院または退院可能な状態)から 7(死亡)の順序尺度で評価した.この集団にはトシリズマブまたはプラセボの投与を少なくとも 1 回受けたすべての患者が含まれた.

結 果

無作為化された 452 例のうち,438 例(トシリズマブ群 294 例,プラセボ群 144 例)が主要解析と副次的解析の対象となった.順序尺度で表した 28 日目の臨床状態の中央値は,トシリズマブ群で 1.0(95%信頼区間 [CI] 1.0~1.0),プラセボ群で 2.0(酸素投与なしで集中治療室以外の病室に入院)(95% CI 1.0~4.0)であった(群間差 -1.0,95% CI -2.5~0,van Elteren 検定で P=0.31).安全性解析対象集団では,重篤な有害事象はトシリズマブ群の 295 例中 103 例(34.9%),プラセボ群の 143 例中 55 例(38.5%)に発現した.28 日死亡率はトシリズマブ群 19.7%,プラセボ群 19.4%であった(加重平均差 0.3 パーセントポイント,95% CI -7.6~8.2,名目上の P=0.94).

結 論

重症 Covid-19 肺炎で入院した患者を対象としたこの無作為化試験では,トシリズマブの使用により,プラセボと比較して 28 日目の臨床状態が有意に良好となることも,死亡率が低くなることもなかった.(エフ・ホフマン・ラ・ロシュ社,米国保健福祉省から研究助成を受けた.COVACTA 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04320615)

英文アブストラクト(DOI: 10.1056/NEJMoa2028700)