April 25, 2002 Vol. 346 No. 17
営利および非営利の健康維持機構加入者による医療の評価
Assessments of Medical Care by Enrollees in For-Profit and Nonprofit Health Maintenance Organizations
H.T. TU AND J.D. RESCHOVSKY
営利および非営利の健康維持機構(HMO)加入者のあいだで,医療の評価がどの程度異なるかは明らかにされていない.
HMO の営利目的の有無と,加入者の自分自身の医療に対する評価との関係を解析した.地域追跡研究(Community Tracking Study)の 2 つの全米調査,すなわち,1996~97 年の世帯調査と,1997~98 年の保険フォローバック調査のデータを利用した.最終的なサンプルは,雇用者保険に加入しており HMO を介して医療行為を受けている 65 歳以下の 13,271 人(成人 10,654 人,小児 2,617 人)であった.自分の健康状態が,すばらしい,非常に良好,良好と報告した計 12,445 人の加入者を,「健康」とみなした.健康状態がまずまずまたは不良であると自己報告した 826 人を,「病気」とみなした.
サンプル全体として,非営利方式の加入者は,営利方式の加入者に比べて,みずからの全般的な医療に非常に満足している割合が高かった(補正平均はそれぞれ 64.0%,58.1%,P=0.01).営利 HMO の加入者のうち,病気の加入者は,健康な加入者に比べて,満たされない要求や治療の遅れを報告した割合が高く(17.4% 対 13.1%,P=0.004),医療に対する組織上のまたは管理上の障壁を報告した割合も高かった(12.9% 対 9.0%,P<0.001);また,前年の個人負担額も多いこと報告した(731 ドル 対 480 ドル,P=0.002).非営利 HMO では,健康な加入者と病気の加入者の評価で有意差が認められたのは一つのみで,病気の加入者は,必要な場合の専門医への紹介に関して,医師に対して高い信頼を示した.
営利 HMO の加入者と非営利 HMO の加入者とで,医療に対する評価に全般的に差はほとんどないが,営利 HMO は,非営利 HMO に比べて,健康状態がまずまずまたは不良であると自己報告した患者から,否定的な評価を受けている.