April 10, 2003 Vol. 348 No. 15
てんかんにおける多剤抵抗性と薬物トランスポーター遺伝子 ABCB1 の多型との関連
Association of Multidrug Resistance in Epilepsy with a Polymorphism in the Drug-Transporter Gene ABCB1
A. Siddiqui and Others
てんかん患者の 1/3 が薬剤抵抗性のてんかんであるが,これは,死亡リスクの上昇や重大な心理社会的転帰と関連している.この病型は複数の抗てんかん薬に抵抗性を示すことから,抵抗性の様式は非特異的であり,ATP-binding cassette sub-family B member 1(ABCB1,MDR1 や P 糖蛋白 170 としても知られる)のような薬物排出トランスポーターが関与するはずである.われわれは,この蛋白の発現増加と関連している,ABCB1 の C3435T 多型での CC 遺伝子型が,抗てんかん薬治療に対する反応性に影響するという仮説を立てた.
てんかん患者 315 例(200 例は薬剤抵抗性,115 例は薬剤反応性と分類)とてんかんのない対照被験者 200 例について,ABCB1 3435 の遺伝子型を決定した.集団の層別化を制御するために最近考案された方法を用い,遺伝子全体で連鎖不平衡を計算した.
薬剤反応を示すてんかん患者と比較して,薬剤抵抗性てんかん患者は,ABCB1 3435 に TT 遺伝子型よりも CC 遺伝子型を有する頻度が高かった(オッズ比 2.66;95%信頼区間 1.32~5.38;P=0.006).2 群間で遺伝的層別はなかった.多型は,この遺伝子のほとんどあるいは全域にわたる連鎖不平衡の広範囲に含まれており,このことは,多型はそれ自体が原因なのではなく,原因となる変異と連鎖している可能性があることを意味していた.
これらの薬理ゲノム学的結果により,抗てんかん薬抵抗性と関連する遺伝的因子が同定された.