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March 9, 2000 Vol. 342 No. 10

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エーラス–ダンロス症候群 IV 型,いわゆる血管型,の臨床的および遺伝的特徴
Clinical and Genetic Features of Ehlers–Danlos Syndrome Type IV, the Vascular Type

M. PEPIN, U. SCHWARZE, A. SUPERTI-FURGA, AND P.H. BYERS

背景

エーラス–ダンロス症候群 IV 型,いわゆる血管型は,III 型プロコラーゲン遺伝子(COL3A1)の変異によって生じる.この疾患に罹患した患者は,動脈,腸管,子宮が破裂するリスクを有するが,破裂する時期,頻度,疾患の経過については,十分な報告がなされていない.

方 法

生化学的に確認されたエーラス–ダンロス症候群 IV 型の発端患者 220 例,および罹患した家族 199 例の診療録と家族歴,内科的合併症と外科的合併症を再検討した.発端患者 135 例は,背景として COL3A1 変異を有することを同定した.

結 果

合併症は幼小期にはまれであった;すなわち,発端患者で 20 歳までに最初の合併症を発症していたのは 25%であったが,40 歳までには 80%を超える患者が少なくとも一つ以上の合併症を有していた.このコホート全体の生存期間の中央値は48 年間と算出された.死亡の大半は動脈破裂によるものであった.腸管破裂については,S 状結腸の破裂が多く,合併症の約 1/4 を占めていたものの,死に至ることはまれであった.妊娠した女性 81 例中の 12 例が,妊娠合併症によって死亡していた.合併症の種類には,COL3A1 の特定の変異との関連は認められなかった.

結 論

罹患患者の多くは,最初の二つ目までの主要な合併症を克服して生存しているが,エーラス–ダンロス症候群 IV 型は,最終的には早期死亡という結果に終る.妊娠中の子宮破裂あるいは動脈や内蔵破裂のために治療が必要になった若年層の人々については,本疾患の診断も考慮に入れるべきである.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2000; 342 : 673 - 80. )