米国の成人に提供されている医療の質
The Quality of Health Care Delivered to Adults in the United States
E.A. McGlynn and Others
医療に含まれる標準的な処置――医療の質の重要な要素――が,米国でどの程度提供されているかについて,系統立った情報はほとんどない.
米国の 12 ヵ所の大都市圏に在住している成人の無作為サンプルに電話をかけ,指定した医療経験について質問を行った.また,ここ 2 年間の医療記録をコピーすることについて書面で同意を得て,これを用いて,30 種類の急性および慢性疾患の医療ならびに予防医療の質に関する 439 の指標の実施状況を評価した.総計スコアを作成した.
参加者は,推奨されている医療の 54.9%(95%信頼区間 54.3~55.5)を受けた.推奨されている予防医療が提供された割合(54.9%),推奨されている急性医療が提供された割合(53.5%),および慢性疾患に対して推奨医療が提供された割合(56.1%)には,ほとんど差が認められなかった.さまざまな医療機能については,医療にかかわる処置の遵守率は,スクリーニング検査の 52.2%から,フォローアップ医療の 58.5%までの範囲であった.質は,特定の疾患によって顕著に異なり,老人性白内障では推奨医療の 78.7%(95%信頼区間 73.3~84.2),アルコール依存症では推奨医療の 10.5%(95%信頼区間 6.8~14.6)と,広範囲にわたっていた.
今回確認されたように,基本的な医療において推奨処置が遵守されていないことは,米国国民の健康に深刻な脅威をもたらす.医療におけるこれらの不備を減らすための戦略が必要である.