早期除細動が成功した院外心停止の長期転帰
Long-Term Outcomes of Out-of-Hospital Cardiac Arrest after Successful Early Defibrillation
T.J. Bunch and Others
心室細動による院外心停止後の死亡率は高い.早期除細動に焦点を合せたプログラムによって,退院までの生存率が改善した.われわれは,生存者の長期転帰および QOL を人口ベースで解析した.
1990 年 11 月~2001 年 1 月に院外心停止を起し,ミネソタ州オルムステッド郡で心室細動に対する早期除細動を受けた患者全員を組み入れた.患者の生存率を,年齢,性別,疾病をマッチさせた院外心停止を起していない住民の対照集団(患者 1 例に対し 2 人)の生存率,および年齢と性別をマッチさせた一般米国民の対照集団の生存率と比較した.QOL は医学的転帰検査・36 項目の簡略一般健康状態調査(SF-36)を用いて評価し,米国民の水準と比較した.
心室細動による院外心停止を起した患者 200 例のうち,145 例(72%)は生存して入院し(7 例が救急科で死亡),79 例(40%)には退院時に神経の障害はなかった(全体機能が良好,あるいは全体機能に中等度の障害).平均追跡期間(±SD)は 4.8±3.0 年であった.患者 19 例が退院後に死亡した.期待 5 年生存率(79%)は,年齢,性別,疾病をマッチさせた対照集団の生存率と同じであったが(P=0.68),年齢,性別をマッチさせた米国民の生存率より低かった(86%,P=0.02).患者 50 例が追跡期間終了時に SF-36 調査を完了し,その大半が体力低下以外はほぼ正常な QOL を示した.
院外心停止後,迅速な除細動を受けた患者の長期生存率は,年齢,性別,疾病をマッチさせた院外心停止を起さなかった対象と同程度であった.生存者の大半で QOL は一般集団と同程度であった.