血液透析患者の続発性副甲状腺機能亢進症に対するシナカルセット
Cinacalcet for Secondary Hyperparathyroidism in Patients Receiving Hemodialysis
G.A. Block and Others
透析患者の続発性副甲状腺機能亢進症に対するビタミン D とカルシウムを用いた治療は,高カルシウム血症や高リン酸血症を併発することが多く,これらの合併症は心血管疾患や有害な臨床転帰の原因となる可能性がある.カルシウム受容体作動薬は,カルシウム感受性受容体を標的とし,カルシウム濃度やリン濃度は上昇させずに副甲状腺ホルモン濃度を低下させる.カルシウム受容体作動薬である塩酸シナカルセットの安全性と有効性を評価した,2 つの同等な無作為二重盲検プラセボ対照試験の結果を報告する.
血液透析を受けており,標準的治療にもかかわらず続発性副甲状腺機能亢進症のコントロールが不十分な患者を,26 週間のシナカルセット(371 例)またはプラセボ(370 例)の投与に無作為に割付けた.副甲状腺ホルモン濃度を正常値である 250 pg/mL 以下に下げるために,1 日 1 回の投与量を 30 mg から 180 mg まで漸増した.主要エンドポイントは,14 週の有効性評価期間中にホルモン濃度が 250 pg/mL 以下であった患者の割合とした.
シナカルセット群の 43%が主要エンドポイントに達したのに対し,プラセボ群では 5%であった(P<0.001).全体として,副甲状腺ホルモン濃度の平均は,シナカルセット群で 43%低下したが,プラセボ群では 9%上昇した(P<0.001).血清カルシウム・リン積は,シナカルセット群で 15%減少したが,プラセボ群では変化しなかった(P<0.001).シナカルセットにより,疾患の重症度やビタミン D ステロール投与量の変化とは独立して,副甲状腺ホルモン濃度が効果的に減少した.
シナカルセットは,続発性副甲状腺機能亢進症のコントロールが不十分な血液透析患者において,副甲状腺ホルモン濃度を低下させ,カルシウム・リンの恒常性を改善する.