January 8, 2009 Vol. 360 No. 2
正期産における選択的反復帝王切開の施行時期と新生児の転帰
Timing of Elective Repeat Cesarean Delivery at Term and Neonatal Outcomes
A.T.N. Tita and Others
妊娠 39 週前の選択的帝王切開は,呼吸器合併症の発症率が上昇するため,胎児の肺成熟が確認されない限り推奨されていない.われわれは,正期産(妊娠 37 週以降)ではあるが,39 週未満で行われる選択的帝王切開と新生児転帰との関連を検討した.
1999~2002 年に,米国ユニス・ケネディ・シュライバー国立小児保健・人間発達研究所の母体・胎児部門ネットワーク(Eunice Kennedy Shriver National Institute of Child Health and Human Development Maternal-Fetal Medicine Units Network)の 19 施設で反復帝王切開を受けた,連続する患者のコホートを調査した.選択的(陣痛開始前で,妊娠 39 週より前に分娩の徴候がない)に分娩した,単胎妊娠の女性を対象とした.主要評価項目は,新生児死亡と,呼吸器合併症,低血糖治療,新生児敗血症,新生児集中治療室(NICU)への入室など複数の有害事象の複合転帰とした.
正期産で反復帝王切開を受けた 24,077 例のうち,13,258 例が選択的帝王切開であった.このうち妊娠満 39 週未満で帝王切開が行われたのは 35.8%で(37 週が 6.3%,38 週が 29.5%),妊娠 39 週では 49.1%であった.新生児死亡は 1 例あった.妊娠 39 週での分娩に比べて,37 週と 38 週での分娩は,主要転帰のリスク増加と関連していた(37 週での分娩の補正オッズ比 2.1,95%信頼区間 [CI] 1.7~2.5;38 週での分娩の補正オッズ比 1.5,95% CI 1.3~1.7;傾向の P<0.001).呼吸器症状,人工換気,新生児敗血症,低血糖,NICU への入室,5 日以上の入院の発生率は,妊娠 37 週での分娩で 1.8~4.2 倍,38 週での分娩で 1.3~2.1 倍に上昇した.
妊娠 39 週未満で選択的反復帝王切開が施行される頻度は高いが,新生児の呼吸器その他の有害転帰と関連している.