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March 4, 2010 Vol. 362 No. 9

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HIV 感染成人における 7 価肺炎球菌結合型ワクチン試験
A Trial of a 7-Valent Pneumococcal Conjugate Vaccine in HIV-Infected Adults

N. French and Others

背景

肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)は,とくにアフリカにおいて,ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染成人に重篤な重復感染をもたらす主要な原因である.現行の 23 価ポリサッカライドワクチンによる予防は不十分である.さらなる選択肢として蛋白結合ワクチンがあるが,成人における臨床的有効性のデータが必要とされている.

方 法

この二重盲検無作為化プラセボ対照臨床有効性試験において,主に HIV に感染したマラウイの青年・成人で,侵襲性肺炎球菌に感染し回復した例を対象に,7 価肺炎球菌結合型ワクチンの有効性を検討した.ワクチンを 4 週間隔で 2 回接種した.主要エンドポイントは,ワクチン接種後に発生したワクチン血清型または血清型 6A による肺炎球菌感染症とした.

結 果

2003 年 2 月~2007 年 10 月に 496 例(男性 44%,HIV 血清陽性 88%)を追跡し,798 人年の観察結果を得た.52 例で計 67 件の肺炎球菌感染症が認められたが,すべて HIV 感染者のサブグループであった.24 例でワクチン血清型による感染症が 19 件,血清型 6A による感染症が 5 件認められた.このうち 5 件がワクチン群,19 件がプラセボ群であり,ワクチンの有効率は 74%(95%信頼区間 [CI] 30~90)であった.全死因死亡は,ワクチン群 73 例,プラセボ群 63 例あった(ワクチン群のハザード比 1.18,95% CI 0.84~1.66).ワクチン接種後 14 日間の重篤な有害事象は,ワクチン群のほうがプラセボ群より有意に少なかったが(3 件 対 17 件,P=0.002),軽度の有害事象はワクチン群で有意に多かった(41 件 対 13 件,P=0.003).

結 論

HIV 感染成人に対する 7 価肺炎球菌結合型ワクチン接種により,ワクチン血清型または血清型 6A による肺炎球菌感染症の再発が予防された.(Current Controlled Trials 番号:ISRCTN54494731)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2010; 362 : 812 - 22. )