October 30, 2014 Vol. 371 No. 18
メディケアの説明責任を果たせる医療機関(ACO)における患者の経験の変化
Changes in Patients' Experiences in Medicare Accountable Care Organizations
J.M. McWilliams and Others
説明責任を果たせる医療機関(ACO)に提示される,医療使用を制限し,質を向上させるためのインセンティブは,患者の医療経験を強化するか,あるいは損なう可能性がある.
「医療機関および医療システムの消費者評価(Consumer Assessment of Healthcare Providers and Systems:CAHPS)」による,2012 年のメディケア ACO 契約の開始前 3 年間および開始後 1 年間の調査データ,ならびにリンクさせたメディケア請求データを用いて,ACO 契約の開始前後における患者の経験を,ACO で治療を受ける出来高払い方式のメディケア受給者 32,334 人の集団(ACO 群)と,他の医療提供者から治療を受ける受給者 251,593 人の集団(対照群)とで比較した.直線回帰分析および difference-in-differences 分析を用いて,患者の社会人口学的特性および臨床的特性を補正し,ACO 群における患者の経験における変化と,対照群における同時期の変化との差を推定した.
ACO 契約の開始後,患者報告による,医療への適時のアクセス,および患者が受けた専門医医療をプライマリケア医が知っている頻度は,ACO 群では対照群と比較して改善に差が認められたのに対し(それぞれ P=0.01 および P=0.006),医師,医師との意思疎通,および医療全般についての患者評価の変化に差は認められなかった.複数の慢性疾患を有する患者,および高額のメディケア支出が予測された患者では,医療の全般的な評価に,ACO 群では対照群と比較して改善に差が認められた(P=0.02).医療への適時のアクセスと全般的な評価における改善の差は,ACO 群における平均成績の 86 パーセンタイルから 98 パーセンタイルへの改善(医療への適時のアクセス),82 パーセンタイルから 96 パーセンタイルへの改善(全般的な評価)に相当し,介入前の期間における傾向の群間差を補正しても変わらなかった.
ACO 契約は,初年度には患者の経験のいくつかの指標において意味のある改善と関連したが,他の指標に変化はみられなかった.(米国国立老化研究所ほかから研究助成を受けた.)