The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

November 2, 2017 Vol. 377 No. 18

思春期 1 型糖尿病患児における ACE 阻害薬とスタチン
ACE Inhibitors and Statins in Adolescents with Type 1 Diabetes

M.L. Marcovecchio and Others

背景

思春期 1 型糖尿病患児では,腎疾患および心血管疾患の長期危険因子である微量アルブミン尿,顕性アルブミン尿が発現する前に,思春期にアルブミン排泄量が急速に増加する.われわれは,アルブミン排泄量が多い思春期児には,アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬とスタチンが有用である可能性があるという仮説を立てた.これらの薬剤は思春期児では十分に評価されていない.

方 法

10~16 歳の思春期 1 型糖尿病患児 4,407 例をスクリーニングし,アルブミン/クレアチニン比が上位 1/3 の 1,287 例を同定した.443 例を,ACE 阻害薬とスタチンを 2×2 の要因デザインで検討するプラセボ対照試験で無作為に割り付けた.年齢,性別,糖尿病罹病期間などの患者背景の相違を最小化した.両方の介入に関して,アルブミン排泄の変化を主要評価項目とし,2~4 年間で,6 ヵ月ごとの受診時に早朝尿検体を 3 回採取し,アルブミン/クレアチニン比を算出し,曲線下面積として表した.主な副次的評価項目は,微量アルブミン尿の発症,網膜症の進行,糸球体濾過量の変化,脂質値,心血管リスクの指標(頸動脈内膜中膜厚,高感度 C 反応性蛋白値,非対称性ジメチルアルギニン濃度)などとした.

結 果

ACE 阻害薬療法,スタチン療法,併用療法は,主要評価項目に影響を与えなかった.ACE 阻害薬の使用は,プラセボの使用と比較して微量アルブミン尿発症率が低いことに関連していたが,主要評価項目に関する結果が陰性であったことと統計解析の計画から,この発症率の低さは有意ではないと判断した(ハザード比 0.57,95%信頼区間 0.35~0.94).スタチンの使用により,総コレステロール値,低比重リポ蛋白コレステロール値,非高比重リポ蛋白コレステロール値,トリグリセリド値,アポリポ蛋白 B/A1 比が有意に低下した一方,いずれの薬剤も,頸動脈内膜中膜厚,その他の心血管マーカー,糸球体濾過量,網膜症の進行に有意な影響を及ぼさなかった.服薬レジメンへのアドヒアランスは全体で 75%であり,重篤な有害事象は全群で同様であった.

結 論

ACE 阻害薬とスタチンの使用による,アルブミン/クレアチニン比の経時的変化はみられなかった.(国際若年性糖尿病研究財団ほかから研究助成を受けた.AdDIT 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01581476)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2017; 377 : 1733 - 45. )