The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

April 12, 2018 Vol. 378 No. 15

びまん性大細胞型 B 細胞リンパ腫の遺伝学と発症機序
Genetics and Pathogenesis of Diffuse Large B-Cell Lymphoma

R. Schmitz and Others

背景

びまん性大細胞型 B 細胞リンパ腫(DLBCL)は,表現型的にも遺伝学的にも不均一である.遺伝子発現プロファイリングによって,化学療法と標的薬に対する反応の違いと関連する起源細胞に基づく DLBCL のサブグループ(活性化 B 細胞様 [ABC],胚中心B 細胞様 [GCB],未分類)が同定されている.われわれは,共通するゲノム異常から DLBCL の遺伝子サブタイプを同定してこれらの知見を拡大し,腫瘍遺伝学に基づき,治療脆弱性を明らかにすることを試みた.

方 法

頻度の高い異常をもつ遺伝子を同定するために,574 例の DLBCL 生検検体を,エクソーム解析,トランスクリプトーム解析,アレイベースの DNA コピー数解析,372 遺伝子の標的増幅産物の再シーケンスを用いて検討した.遺伝子変化の同時発生をもとに遺伝子サブタイプを発見するためのアルゴリズムを開発し,導入した.

結 果

DLBCL の主要な遺伝子サブタイプを 4 つ同定し,それぞれ MCD(MYD88L265P 変異と CD79B 変異の同時発生に基づく),BN2(BCL6 融合と NOTCH2 変異に基づく),N1(NOTCH1 変異に基づく),EZB(EZH2 変異と BCL2 転座に基づく)と名付けた.複数の遺伝子に異常が発生している点で,各遺伝子サブタイプは他のDLBCL と異なっていた.これらのサブタイプは,遺伝子発現特性と免疫化学療法に対する反応の違いから表現型が異なり,BN2 サブタイプと EZB サブタイプは生存が良好で,MCD サブタイプと N1 サブタイプは転帰が不良であった.遺伝子経路の解析により,MCD サブタイプと BN2 サブタイプの DLBCL は,治療的阻害に反応しやすい「慢性的に活発な」B 細胞受容体シグナル伝達に依存していることが示唆された.

結 論

遺伝形質,エピジェネティック特性,臨床像の異なるDLBCL の遺伝子サブタイプが明らかになり,DLBCL に対する精確な医療戦略に用いることのできる疾病分類の可能性が提示された.(米国国立衛生研究所の所内研究プログラムほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2018; 378 : 1396 - 407. )