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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

May 8, 2003
Vol. 348 No. 19

ORIGINAL ARTICLE

  • エストロゲン+プロゲスチンの健康関連 QOL に対する効果
    Effects of Estrogen plus Progestin on Health-Related Quality of Life

    エストロゲン+プロゲスチンの健康関連 QOL に対する効果

    以前に Women's Health Initiative は,エストロゲンとプロゲスチンを用いた治療法が,閉経後女性の疾患を予防しないことを立証した.50~79 歳の閉経後女性を対象とした同様の大規模無作為プラセボ対照試験では,エストロゲン+プロゲスチン療法は,エネルギー,気分,認知,睡眠,性的満足感などの 12 項目の健康関連 QOL に対して,臨床的に意義のある効果をもたらさなかった.
    エストロゲン+プロゲスチン療法は,大半の閉経後女性の QOL を向上させない.

  • 新規の機能獲得型突然変異に関連したエストロゲン過剰
    Estrogen Excess Associated with Novel Gain-of-Function Mutations

    著者らは,父親と息子および血縁関係のない少年における,エストロゲン過剰が原因の,思春期前に発現する女性化乳房と低ゴナドトロピン性性機能低下症について述べている.著者らは,第 15 染色体上に新規の機能獲得型突然変異(父親と息子は同一の変異,非血縁少年は別の変異)を同定した.その変異が,アロマターゼ遺伝子の潜在的なプロモーターを誘発し,アロマターゼの過剰発現とエストロゲン高値を引き起している.
    この研究で同定されたような突然変異は,これらの患者のように,明らかな臨床上の異常を引き起す可能性があるが,明らかなエストロゲン過剰を示さない人におけるエストロゲン依存性疾患のリスクについても影響をもっている可能性がある.

  • QT 延長症候群におけるリスクの層別化
    Risk Stratification in the Long-QT Syndrome

    遺伝性 QT 延長症候群のもっともよくみられる原因は,2 つのカリウムチャネル遺伝子(LQT1 座または LQT2 座)あるいはナトリウムチャネル遺伝子(LQT3 座)のいずれかの突然変異である.この大規模な研究では,失神,心停止,あるいは突然死のリスクは,患者の遺伝子型,QT 間隔(心拍数で補正)の持続時間,および患者の性別の影響を受けていた.
    リスクのもっとも高い患者は,補正した QT 間隔が 500 msec 以上で,とくに LQT3 座に突然変異を有する男性患者,または性別に関係なく LQT1 あるいは LQT2 に突然変異を有する患者であった.これらの知見は,予防的介入の標的を定めるうえで役立つであろう.

  • 造血幹細胞による救済を伴う多発性骨髄腫に対する大量化学療法
    High-Dose Chemotherapy with Hematopoietic Stem-Cell Rescue for Multiple Myeloma

    多発性骨髄腫の治療に関するこの無作為試験では,通常の併用化学療法と大量化学療法+造血幹細胞移植とを比較した.大量療法群では,従来型治療群よりも完全寛解率が高く,生存期間の中央値が 1 年近く長かった.
    この慎重に実施された研究から,大量化学療法+造血幹細胞移植が,65 歳未満の多発性骨髄腫患者において効果的であることが示された.

SPECIAL ARTICLE

  • 精神保健「カーブアウト」制度が抗精神病治療の継続に及ぼす影響
    Effect of a Mental Health“Carve-Out” Program on the Continuity of Antipsychotic Therapy

    メディケイド費用抑制策として,多くの州が,精神保健サービスの責任を行動保健機関に移転させた.こうした機関では,メディケイド受給者ごとに固定額を受け取って,一括した精神保健サービスを提供する.この研究により,テネシー州におけるこうした精神保健「カーブアウト」プログラムへの移行に関連して,重度精神病患者における抗精神治療遵守が低下したことが明らかになった.
    精神保健の業務分離プログラムへの移行により,弱い患者が必要な精神保健サービスを中断する危険性に陥る可能性がある.

CLINICAL PRACTICE

  • 小さな腹部大動脈瘤
    Small Abdominal Aortic Aneurysms

    50 年の喫煙歴のある 68 歳の男性が一過性黒内障を呈し,最大直径が 3.2 cm の偶発的な腎内動脈の拡張が認められた.5 年間の定期的な追跡後,大動脈の直径は 4.8 cm に増大している.この症例に適切な追跡と管理は,どのようなものであろうか?

CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH

  • 癌感受性遺伝子網の拡大
    A Growing Network of Cancer-Susceptibility Genes

    この数年で,乳癌感受性遺伝子 BRCA1 および BRCA2 の産物と相互作用する蛋白が急激な速度で発見されている.いくつかの知見は,BRCA 蛋白とファンコニ貧血で変異している蛋白を結び付けている.この関連は,DNA がどのように修復されるかについてのより詳細な全体像を示しているだけでなく,実験的治療の戦略目標も提示している.

CORRESPONDENCE

  • 天然痘と天然痘ワクチン接種

  • 天然痘ワクチンの接種

  • 2 型糖尿病における多因子介入と心血管疾患

  • 血清レチノール濃度と骨折のリスク

  • オフポンプ冠動脈バイパス術

  • 不安定狭心症における広汎な冠動脈の炎症

  • みるのは簡単であるが,発見はむずかしい

  • Ruby Red Squirt(米国で販売されている飲料の名称)摂取後の臭素疹