August 14, 1997 Vol. 337 No. 7
早期産児の新生児頭蓋内出血に及ぼす出生前フェノバルビタール療法の効果
THE EFFECT OF ANTENATAL PHENOBARBITAL THERAPY ON NEONATAL INTRACRANIAL HEMORRHAGE IN PRETERM INFANTS
S. SHANKARAN AND OTHERS
出産前の妊娠女性にフェノバルビタールを投与すれば,早期産児における頭蓋内出血の発生率が低下すると考えられてきた.この神経保護療法の可能性をさらに評価するために,新生児頭蓋内出血および早期死亡の発生率に及ぼすフェノバルビタールの出生前投与の効果を明らかにした.
妊娠 24~33 週で 24 時間以内に新生児を出産すると予想される女性 610 人を調べた.女性を無作為割付けして,フェノバルビタール(10 mg/kg 体重)またはプラセボのいずれかを静脈内投与し,その後出産まで,または妊娠 34 週まで維持用量を投与した.これらの女性に生まれた新生児に頭蓋内超音波検査を行い,頭蓋内出血の有無を検出した.
フェノバルビタール群の女性は 309 人,プラセボ群の女性は 301 人であった.試験薬の投与または最終維持用量の投与後 24 時間以内に出産したのは,フェノバルビタール群では 247 人(80%),プラセボ群では 235 人(78%)であった.頭蓋内出血および早期死亡は,フェノバルビタール群の女性に生まれた新生児では 344 人中 83 人(24%),プラセボ群の女性に生まれた新生児では 324 人中 74 人(23%;フェノバルビタール群の新生児に関するリスク比,1.1;95%信頼区間,0.8~1.4)に起った.妊娠 34 週未満で出生し,超音波検査が行われた新生児のうち,頭蓋内出血と診断されたのは,フェノバルビタール群では 311 人中 70 人(23%),プラセボ群では 279 人中 64 人(23%)であった(リスク比,1.0;95%信頼区間,0.8~1.4).
フェノバルビタールの出生前投与は,早期産児の頭蓋内出血または早期死亡のリスクを低下させない.