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December 20, 2001 Vol. 345 No. 25

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アセトアミノフェン,アスピリン,および慢性腎不全
Acetaminophen, Aspirin, and Chronic Renal Failure

C.M. FORED AND OTHERS

背景

いくつかの疫学研究によって,非麻薬性鎮痛薬の多用と慢性腎不全の発症との関連が証明されているが,どちらが原因で,どちらが結果であるのかは明らかにされていない.

方 法

スウェーデンで実施された早期慢性腎不全に関する全国規模の人口ベースによる症例対照研究において,新規に腎不全と診断された患者 926 例と対照被験者 998 例に対して対面面接調査を行い,それぞれ 918 例および 980 例からすべてのデータを入手することができた.ロジスティック回帰モデルを用いて,各種の鎮痛薬の使用に関連した慢性腎不全の疾患特異的病型による相対危険度を推定した.

結 果

アスピリンとアセトアミノフェンを,腎不全の患者ではそれぞれ 37%および 25%,対照被験者ではそれぞれ 19%および 12%が日常的に使用していた.一方の薬剤を日常的に使用し,他方の薬剤は使用していない場合,何らかの原因による慢性腎不全のリスクが 2.5 倍上昇することと関連が認められた.相対危険度は,累積生涯投与量が増加するにつれて上昇し,アスピリンの使用よりもアセトアミノフェンの使用に一致して上昇し,慢性腎不全のほとんどの疾患特異的病型において上昇していた.腎不全の前駆症状に対して用いた可能性のある最近の鎮痛剤の使用を無視しても,この関連はわずかに希薄になるだけであった.

結 論

この結果は,アセトアミノフェンおよびアスピリンに慢性腎不全に対する悪化作用が存在しているということと一致する.しかし,素因を与えている病態が鎮痛薬を消費する引き金になっていることによるバイアスの可能性を除外できない.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2001; 345 : 1801 - 8. )