September 27, 2001 Vol. 345 No. 13
閉経前の女性における骨密度に対する吸入グルココルチコイドの影響
Effects of Inhaled Glucocorticoids on Bone Density in Premenopausal Women
E. ISRAEL AND OTHERS
グルココルチコイドの吸入は,喘息患者の長期治療においてもっとも一般的に使用されている薬物治療である.長期吸入グルココルチコイド療法が,経口グルココルチコイド療法のように骨量を減少させるかどうかについては,意見の分かれるところである.3 年間の前向き研究において,喘息の閉経前の女性を対象に,グルココルチコイドの吸入量と骨喪失の割合の関係について検討した.
骨喪失の原因となるような病態が存在しない喘息で,トリアムシノロンアセトニド(1 回噴霧当り 100 μg)の吸入治療を受けていた,年齢が 18~45 歳の閉経前の女性 109 例について検討した.二重光子吸収法による骨密度の測定を,試験開始時,試験 6 ヵ月目,1 年目,2 年目,および 3 年目に行った.オステオカルシンおよび副甲状腺ホルモンの血清中濃度と,N-テロペプチド,コルチゾル,およびカルシウムの尿中排泄を連続的に測定した.グルココルチコイドの吸入量は,自動作動監視装置を使用することによって記入補助した 1 ヵ月単位の患者日誌を調べることによって測定した.
グルココルチコイドの吸入療法に関連して,股関節全体および転子の両方の骨密度が,治療 1 年当り 0.00044 g/cm2/噴霧の割合で用量依存的に低下した(それぞれ p=0.01 および p=0.005).大腿骨頸部や脊椎には用量関連性の影響は認められなかった.試験期間のどの時期であれ,グルココルチコイドを経口または非経口で投与されたすべての女性を除外しても,骨密度の低下と吸入 1 年当りの噴霧回数とのあいだに関連が認められた.骨代謝または副腎機能の血清および尿マーカーは,骨喪失の程度を予測できなかった.
グルココルチコイドの吸入は,閉経前の女性において,股関節の用量依存性の骨喪失にいたらせる.