November 18, 2004 Vol. 351 No. 21
早産と後年のインスリン抵抗性
Premature Birth and Later Insulin Resistance
P.L. Hofman and Others
在胎期間に比して小さい満期産児は,小児期にインスリン抵抗性を示す傾向があると考えられる.われわれは,2 型糖尿病のマーカーであるインスリン抵抗性が,在胎期間に見合った発育をしたか,在胎期間に比して小さいかにかかわらず,早産児によくみられるという仮説を立てた.
4~10 歳の思春期前の健常な小児 72 例を検討した.50 例は早産児(妊娠 32 週以下)で,22 例は対照被験者(妊娠 37 週以上,出生体重 10 パーセンタイル以上)であった.早産児 50 例のうち,38 例では出生体重が在胎期間に見合っていて(10 パーセンタイル以上),12 例では在胎期間に比して小さかった.インスリン感受性は,頻回の静脈内ブドウ糖負荷試験で得られたインスリンとグルコースを対にしたデータを用いて評価した.
早産児では,体重が在胎期間に見合っているか,在胎期間に比して小さいかにかかわらず,対照群に比べインスリン感受性が単独で低下していた(出生体重が在胎期間に見合っている群,14.2×10-4 mU/L/分 [95%信頼区間 11.5~16.2];出生体重が在胎期間に比して小さい群,12.9×10-4 mU/L/分 [95%信頼区間 9.7~17.4];対照群,21.6×10-4 mU/L/分 [95%信頼区間 17.1~27.4];P=0.002).早産児群では,インスリン感受性に有意差はみられなかった(P=0.80).対照群と比べると,早産児群では両群とも急なインスリンの代償的な増加がみられた(出生体重が在胎期間に見合っている群,2,002 pmol/L [95%信頼区間 2,153~2,432];出生体重が在胎期間に比して小さい群,2,253 pmol/L [95%信頼区間 1,622~3,128];対照群,1,148 pmol/L [95%信頼区間 875~1,500];P<0.001).
早産児では,満期産であるが在胎期間に比して小さい小児と同様に,2 型糖尿病の危険因子である可能性のある,インスリン感受性の低下が単独でみられる.