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May 5, 2005 Vol. 352 No. 18

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ノースカロライナ州での HIV 検査における急性感染の検出
Detection of Acute Infections during HIV Testing in North Carolina

C.D. Pilcher and Others

背景

ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の急性感染者は,ウイルス血症を起しているが抗体検査では陰性を示すため,ノースカロライナ州は,これらの感染者を検出するために,HIV の核酸増幅検査法を標準的な HIV 抗体検査に加えた.

方 法

公衆衛生業務における HIV の検出率と検出精度に核酸増幅検査法が及ぼす影響を明らかにするため,州が実施する HIV の検査法に関して 12 ヵ月間の観察研究を行った.標準的な HIV 抗体検査(酵素免疫法とウエスタンブロット法)の診断精度を,標準的な抗体検査で陰性を示した血清サンプルを核酸増幅法で再検査するアルゴリズムと比較した.また,反復 sensitive/less-sensitive enzyme immunoassay(S/LS EIA 法)を用いた調査アルゴリズムも評価した.HIV 感染は,核酸増幅検査で陽性が確認された場合または HIV 抗体の血清変換が起きた場合と定義した.

結 果

2002 年 11 月 1 日~2003 年 10 月 31 日のあいだに,HIV 感染のリスクがあり HIV 検査に同意した 109,250 人が,州立診療所を受診した.606 例が HIV 陽性であった.標準的な酵素免疫法またはウエスタンブロット法で同定された感染確定者は 583 例であった.このうち 107 例は,S/LS EIA 法により最近感染した患者であることが確認された.急性感染者計 23 例は核酸増幅法によってのみ同定することができた.検出可能であった感染例すべてを考慮すると,標準的な抗体検査法の感度は 0.962(95%信頼区間 0.944~0.976)であった.核酸増幅検査法では 2 件の偽陽性結果が出た.核酸増幅検査を含むアルゴリズムの特異度は 0.999 より高く(95%信頼区間 0.999~0.999 超),陽性適中率は 0.997(95%信頼区間 0.988~0.999 超)であった.急性 HIV 感染 23 例のうち,16 例は性感染症診療所で検出された.HIV 予防の緊急措置により,HIV に曝露する高いリスクから,性的パートナー 48 人と胎児 1 人を守ることができた.

結 論

核酸増幅検査を HIV 検査のアルゴリズムに加えることにより,診断検査の精度を損なわずに,感染症例の同定率が有意に上昇する.他人に感染させる危険性が高い急性感染者を検出することにより,HIV の監視と予防に新たな機会が生まれる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2005; 352 : 1873 - 83. )