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August 31, 2006 Vol. 355 No. 9

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散発性大腸腺腫を予防するためのセレコキシブ投与
Celecoxib for the Prevention of Sporadic Colorectal Adenomas

M.M. Bertagnolli and Others

背景

動物実験や家族性大腸腺腫症患者において,シクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)を阻害する薬剤により大腸腺腫の数が減少することが,複数の試験で明らかにされている.このことから,COX-2 阻害薬は,散発性大腸腫瘍の予防にも有効である可能性が示唆されている.

方 法

試験登録前に腺腫を切除した患者を,プラセボ投与(679 例),セレコキシブ 200 mg 1 日 2 回投与(685 例),セレコキシブ 400 mg 1 日 2 回投与(671 例)のいずれかに無作為に割り付けた.無作為化は,低用量アスピリンの使用について層別化して行った.追跡調査として,大腸内視鏡検査を無作為化後 1 年目と 3 年目に実施した.各群で新たに検出された大腸腺腫の発生率を,Mantel-Haenszel 検定と生命表法を組み合せた方法を用いて比較した.

結 果

大腸内視鏡検査による追跡調査は,1 年目は無作為化した患者の 89.5%,3 年目は 75.7%で行われた.3 年目までに 1 つ以上検出された腺腫の累積発生率の推定値は,プラセボ群で 60.7%であったのに対し,セレコキシブ 200 mg 1 日 2 回投与群では 43.2%(リスク比 0.67,95%信頼区間 0.59~0.77,P<0.001),セレコキシブ 400 mg 1 日 2 回投与群では 37.5%(リスク比 0.55,95%信頼区間 0.48~0.64,P<0.001)であった.重篤な有害事象の発生率は,プラセボ群では 18.8%であったのに対し,低用量セレコキシブ群では 20.4%(リスク比 1.1,95%信頼区間 0.9~1.3,P=0.5),高用量セレコキシブ群では 23.0%(リスク比 1.2,95%信頼区間 1.0~1.5,P=0.06)であった.プラセボに比べ,セレコキシブでは,心血管イベントリスクの増加がみられた(低用量群のリスク比 2.6,95%信頼区間 1.1~6.1;高用量群のリスク比 3.4,95%信頼区間 1.5~7.9).

結 論

これらの知見から,セレコキシブは,大腸腺腫の予防に有効な薬剤であるが,心血管イベントが懸念されるため,ルーチンではこの適応を推奨できないことが示唆される.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00005094)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2006; 355 : 873 - 84. )