March 17, 2016 Vol. 374 No. 11
頸部内頸動脈狭窄症に対する頸動脈ステント留置術と頸動脈内膜剝離術の長期成績の比較
Long-Term Results of Stenting versus Endarterectomy for Carotid-Artery Stenosis
T.G. Brott and Others
われわれは,頸部内頸動脈血行再建における頸動脈内膜剝離術と頸動脈ステント留置術との比較試験(CREST)において,ステント留置術群と内膜剝離術群とで,周術期の脳卒中・心筋梗塞・死亡と,その後 4 年間の追跡期間中の同側脳卒中から成る主要複合エンドポイントに関して,有意差は認められなかったことを報告した.今回,追跡期間を 10 年まで延長した結果を報告する.
117 施設において,頸部内頸動脈狭窄症の患者を,頸動脈ステント留置術を行う群と頸動脈内膜剝離術を行う群に無作為に割り付け,転帰を 6 ヵ月ごとに,最長 10 年間評価した.主要複合エンドポイントの評価に加えて,この長期延長試験の主要エンドポイントとして,周術期以降の期間の同側脳卒中についても評価した.
2,502 例を対象とした 10 年間の追跡で,主要複合エンドポイントの発生率に,ステント留置術群(11.8%,95%信頼区間 [CI] 9.1~14.8)と内膜剝離術群(9.9%,95% CI 7.9~12.2)とで有意差は認められなかった(ハザード比 1.10,95% CI 0.83~1.44).主要長期エンドポイントに関して,10 年間の追跡における周術期以降の期間の同側脳卒中は,ステント留置術群の 6.9%(95% CI 4.4~9.7),内膜剝離術群の 5.6%(95% CI 3.7~7.6)で発生し,群間で有意差は認められなかった(ハザード比 0.99,95% CI 0.64~1.52).症候性患者と無症候性患者とで分けて解析しても,どちらのエンドポイントにも群間で有意差は認められなかった.
10 年間の追跡期間中に,ステント留置術を受けた患者と内膜剝離術を受けた患者とで,周術期の脳卒中・心筋梗塞・死亡,およびその後の同側脳卒中のリスクに有意差は認められなかった.周術期以降の期間の同側脳卒中の発生率にも,群間で有意差は認められなかった.(米国国立衛生研究所,Abbott Vascular Solutions 社から研究助成を受けた.CREST 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00004732)