The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

December 15, 2016 Vol. 375 No. 24

遺伝的リスク,健康的な生活習慣の遵守,冠動脈疾患
Genetic Risk, Adherence to a Healthy Lifestyle, and Coronary Disease

A.V. Khera and Others

背景

遺伝的因子と生活習慣因子はいずれも,個人レベルの冠動脈疾患リスクに寄与する.遺伝的リスクが高い場合に,健康的な生活習慣によってどの程度相殺されうるかは不明である.

方 法

DNA 配列多型の多遺伝子スコアを用いて,冠動脈疾患の遺伝的リスクを定量化した.対象は,地域におけるアテローム性動脈硬化リスク(ARIC)研究の 7,814 例,女性のゲノム健康調査(WGHS)の 21,222 例,マルメ食事と癌に関する研究(MDCS)の 22,389 例の 3 つの前向きコホートと,横断的 BioImage 研究の参加者のうち,遺伝型と共変量データを入手しえた 4,260 例であった.また,現在非喫煙,非肥満,定期的な身体活動,健康的な食事の 4 項目から成る採点システムを用いて,参加者の健康的な生活習慣の遵守状況を確認した.

結 果

遺伝的リスクの高い参加者(多遺伝子スコアの最高五分位群)は,遺伝的リスクの低い参加者(最低五分位群)と比較して,冠動脈イベント発生の相対リスクが 91%高かった(ハザード比 1.91,95%信頼区間 [CI] 1.75~2.09).望ましい生活習慣(健康的な生活習慣 4 項目のうち,3 項目以上を遵守していることと定義)は,望ましくない生活習慣(1 項目以下を遵守していることと定義)と比較して,遺伝的リスク分類にかかわらず,冠動脈イベントのリスクが著しく低いことに関連した.遺伝的リスクの高い参加者では,望ましい生活習慣がある場合,望ましくない生活習慣がある場合と比較して,冠動脈イベントの相対リスクが 46%低いことに関連した(ハザード比 0.54,95% CI 0.47~0.63).この結果は,冠動脈イベントの標準化 10 年発生率が,ARIC 研究では望ましくない生活習慣と望ましい生活習慣とで 10.7%から 5.1%に低下し,WGHS では 4.6%から 2.0%に低下し,MDCS では 8.2%から 5.3%に低下したことに相当した.BioImage 研究では,望ましい生活習慣は,各遺伝的リスク分類内で冠動脈石灰化が有意に少ないことに関連した.

結 論

4 研究 55,685 例において,遺伝的因子と生活習慣因子は,それぞれ独立に冠動脈疾患に対する感受性と関連していた.遺伝的リスクの高い参加者では,望ましい生活習慣がある場合,望ましくない生活習慣がある場合と比較して,冠動脈疾患の相対リスクが 50%近く低いことに関連した.(米国国立衛生研究所ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2016; 375 : 2349 - 58. )