The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

April 20, 2017 Vol. 376 No. 16

ボコシズマブによる脂質低下のばらつきと抗薬物抗体形成
Lipid-Reduction Variability and Antidrug-Antibody Formation with Bococizumab

P.M. Ridker and Others

背景

前駆蛋白転換酵素サブチリシン/ケキシン 9 型(PCSK9)を標的とするヒト化モノクローナル抗体ボコシズマブ(bococizumab)は,低比重リポ蛋白(LDL)コレステロール値を低下させる.しかし,この効果のばらつきと持続性は明らかにされていない.

方 法

6 件の並行群間多国間脂質低下試験を行い,高脂血症の患者 4,300 例をボコシズマブ 150 mg を皮下投与する群とプラセボを投与する群に無作為に割り付け,最長 12 ヵ月間追跡した.患者の 96%が登録時にスタチン療法を受けていた.治療期間中に検出された抗薬物抗体の有無で患者を層別化し,経時的な脂質値の変化を評価した.

結 果

12 週の時点で,LDL コレステロール値のベースラインからの変化は,ボコシズマブ投与患者では 54.2%の低下を認めたのに対し,プラセボ投与患者では 1.0%の上昇を認めた(群間の絶対差 -55.2 パーセントポイント).総コレステロール,非高比重リポ蛋白コレステロール,アポリポ蛋白 B,リポ蛋白(a)にも群間で有意差が認められた(すべての比較で P<0.001).しかし,ボコシズマブ投与患者ではかなりの割合で高力価の抗薬物抗体が出現し,これによって LDL コレステロール値の低下の程度と持続性が著しく減少した.また,抗薬物抗体が出現しなかった患者でも,12 週と 52 週の両時点で,LDL コレステロール値の低下に大きなばらつきが認められた.主要心血管イベントはボコシズマブ投与患者の 57 例(2.5%)と,プラセボ投与患者の 55 例(2.7%)に発生した(ハザード比 0.96,95%信頼区間 0.66~1.39,P=0.83).ボコシズマブ投与患者でもっとも頻度が高かった有害事象は注射部位反応であった(100 人年あたり 12.7 件).

結 論

ボコシズマブを評価する 6 件の多国間試験で,投与した患者の大部分で抗薬物抗体が出現し,LDL コレステロール値の低下効果を有意に減弱させた.抗薬物抗体が出現しなかった患者でも,コレステロール値の相対的低下に大きなばらつきが認められた.(Pfizer 社から研究助成を受けた.SPIRE 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01968954,NCT01968967,NCT01968980,NCT02100514,NCT02135029,NCT02458287)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2017; 376 : 1517 - 26. )