The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

April 20, 2017 Vol. 376 No. 16

高リスク患者におけるボコシズマブの心血管に対する有効性と安全性
Cardiovascular Efficacy and Safety of Bococizumab in High-Risk Patients

P.M. Ridker and Others

背景

ボコシズマブ(bococizumab)は,前駆蛋白転換酵素サブチリシン/ケキシン 9 型(PCSK9)を阻害するヒト化モノクローナル抗体であり,低比重リポ蛋白(LDL)コレステロール値を低下させる.心血管リスクの高い患者におけるボコシズマブの有効性を評価した.

方 法

LDL コレステロール値の組入れ基準が異なる並行群間多国間試験を 2 件行った.2 試験合わせて 27,438 例を,ボコシズマブ(150 mg)を 2 週ごとに皮下投与する群とプラセボを投与する群に無作為に割り付けた.主要エンドポイントは,非致死的心筋梗塞,非致死的脳卒中,緊急血行再建を必要とする不安定狭心症による入院,心血管死亡とした.患者の 93%がベースラインでスタチン療法を受けていた.このプログラムの他試験のデータで示されているとおり,抗薬物抗体の出現率が高かったこともあり,試験のスポンサーがボコシズマブの開発中止を決定したため,この 2 試験は早期に中止された.追跡期間中央値は 10 ヵ月であった.

結 果

14 週の時点で,2 試験の患者の LDL コレステロール値のベースラインからの平均変化量は,ボコシズマブ群が -56.0%,プラセボ群が +2.9%であり,群間差は -59.0 パーセントポイント(P<0.001),ベースラインからの低下の中央値は 64.2%であった(P<0.001).リスクがより低く,試験期間が短かった試験(ベースラインの LDL コレステロール値≧70 mg/dL [1.8 mmol/L],追跡期間中央値 7 ヵ月)では,主要心血管イベントはボコシズマブ群,プラセボ群ともに 173 例に発生した(ハザード比 0.99,95%信頼区間 [CI] 0.80~1.22,P=0.94).リスクがより高く,試験期間が長かった試験(ベースラインの LDL コレステロール値≧100 mg/dL [2.6 mmol/L],追跡期間中央値 12 ヵ月)では,主要心血管イベントはそれぞれ 179 例,224 例に発生した(ハザード比 0.79,95% CI 0.65~0.97,P=0.02).2 試験合わせた主要エンドポイントのハザード比は 0.88(95% CI 0.76~1.02)であった(P=0.08).ボコシズマブ群では,注射部位反応の頻度がプラセボ群よりも高かった(10.4% 対 1.3%,P<0.001).

結 論

PCSK9 阻害薬ボコシズマブとプラセボとを比較する 2 件の無作為化試験のうち,よりリスクの低い患者を対象とした試験では,主要有害心血管イベントに関してボコシズマブに利益は認められなかったが,よりリスクの高い患者を対象とした試験では有意な利益が認められた.(Pfizer 社から研究助成を受けた.SPIRE-1 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01975376;SPIRE-2 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01975389)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2017; 376 : 1527 - 39. )