The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

January 5, 2017 Vol. 376 No. 1

多座位のゲノム多様性に起因する疾患表現型の解析
Resolution of Disease Phenotypes Resulting from Multilocus Genomic Variation

J.E. Posey and Others

背景

全エクソーム解析によって,観察された臨床表現型とその基礎にある遺伝型との関係について洞察が得られる可能性がある.

方 法

全エクソーム解析を受けるために臨床検査室に紹介された連続する非血縁患者 7,374 例のデータを後ろ向きに解析した.この研究の目的は,2 つ以上の分子診断がなされた患者の割合と,その臨床的特徴を明らかにすることであった.分子的に診断された 2 つの疾患のあいだの表現型の類似性スコアを,ヒト表現型オントロジー(HPO)の用語を用いて算出した.

結 果

7,374 例中 2,076 例(28.2%)で分子診断がなされた.このうち 101 例(4.9%)は,2 つ以上の疾患関連座位に基づく診断であった.親の検体も入手可能であれば解析し,その結果,常染色体優性遺伝疾患遺伝子の病原性多様体の 67.8%(90 例中 61 例)が親にない(de novo)多様体で,X 連鎖疾患遺伝子の病原性多様体の 51.7%(29 例中 15 例)が de novo であることがわかり,単一アレルの多様体を 2 つ有する患者で両方とも de novo である割合は 44.7%(38 例中 17 例)であった.疾患の原因となるコピー数多型は 12 例(11.9%)に認められた.表現型の類似性スコアは,表現型が,異なる器官の 2 つの異なるメンデル遺伝病に起因している患者(50 例)のほうが,表現型の特徴が重複している疾患の患者(30 例)よりも有意に低かった(スコアの中央値 0.21 対 0.36,P=1.77×10-7).

結 論

今回の研究で,全エクソーム解析で情報が得られた症例の 4.9%で,複数の分子診断がなされていることがわかった.今回の結果は,同一患者の 2 つのメンデル遺伝病における重複の程度を検討するのに,構造化された臨床オントロジーが利用できることを示している.このような場合の疾患表現型は,異なることもあれば,重複することもある.異なる疾患表現型は異なる器官に現れる一方,重複する疾患表現型は,同一経路内で相互作用する蛋白をコードする 2 つの遺伝子によって引き起こされる可能性が高い.(米国国立衛生研究所,ティンツォン&ウェイフォン・チャオ財団から研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2017; 376 : 21 - 31. )