The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

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日本語アブストラクト

November 9, 2017 Vol. 377 No. 19

乳癌に対する内分泌療法を 5 年間で中止したあとの 20 年再発リスク
20-Year Risks of Breast-Cancer Recurrence after Stopping Endocrine Therapy at 5 Years

H. Pan and Others

背景

エストロゲン受容体(ER)陽性早期乳癌女性では,内分泌療法を 5 年間行うと,治療中および治療後の再発率が大幅に低下する.治療期間を 5 年以上に延長すると,さらなる防御効果が得られるが,さらなる副作用がある.5 年で中止した場合の,その後の遠隔再発の絶対リスクに関するデータを得ることは,治療を延長すべきかどうかの判断に役立つ可能性がある.

方 法

ER 陽性乳癌で,予定された 5 年間の内分泌療法後,無病状態にあった女性 62,923 例を含む,88 件の試験の結果のメタ解析を行った.試験と治療で層別化し,5~20 年の期間における,腫瘍径とリンパ節転移の状態(TN 分類),腫瘍悪性度,その他の因子と,患者の転帰との関連を Kaplan–Meier 解析と Cox 回帰分析を用いて評価した.

結 果

5~20 年の試験期間を通して,乳癌再発は一定の割合で発生した.遠隔再発リスクは,最初の TN 分類と強く相関していた.遠隔再発リスクは,T1 の患者では,リンパ節転移がない場合(T1N0)13%,リンパ節転移が 1~3 個の場合(T1N1–3)20%,4~9 個の場合(T1N4–9)34%であり,T2 の患者では,T2N0 で 19%,T2N1–3 で 26%,T2N4–9 で 41%であった.乳癌による死亡リスクは同様に TN 分類に依存していたが,対側乳癌リスクは依存していなかった.特定の TN 分類のもとでは,腫瘍悪性度(43,590 例でデータが存在)と Ki-67 状態(7,692 例でデータが存在)の因子は互いに強く相関しており,遠隔再発の独立した予測因子としての有用性は中等度にとどまったが,プロゲステロン受容体(54,115 例)とヒト上皮増殖因子受容体 2(HER2)(トラスツズマブを使用しない試験の 15,418 例)の状態は,予測因子としては有用ではなかった.5~20 年の試験期間中の T1N0 乳癌患者における遠隔再発の絶対リスクは,低悪性度の乳癌で 10%,中悪性度の乳癌で 13%,高悪性度の乳癌で 17%であり,全再発または対側乳癌の絶対リスクは,それぞれ 17%,22%,26%であった.

結 論

5 年間の術後補助内分泌療法後,乳癌再発は 5~20 年の試験期間を通し一定の割合で発生した.遠隔再発リスクは最初の TN 分類と強く相関しており,リスクは 10~41%の範囲で,TN 分類と腫瘍悪性度に依存していた.(英国がん研究所ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2017; 377 : 1836 - 46. )