The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み
  • 目 次
  • This Week at NEJM.org

    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

November 23, 2006
Vol. 355 No. 21

ORIGINAL ARTICLE

  • 2006 年のトルコ東部におけるA 型トリインフルエンザ(H5N1)感染
    Avian Influenza A (H5N1) Infection in Eastern Turkey in 2006

    A 型トリインフルエンザ(H5N1)は,2005 年末頃にトルコに拡大した.この論文で研究者らは,2006 年 1 月に WHO によって確認されたトルコの H5N1 感染者 12 例のうち,死亡者全例を含む,8 例の臨床的特徴について報告している.H5N1 感染の診断の確立はかなり困難であり,リアルタイム PCR により成功した.

  • 2005 年のインドネシアにおける3 つの H5N1 ウイルス感染群
    Three Indonesian Clusters of H5N1 Virus Infection in 2005

    2005 年インドネシアで,A 型トリインフルエンザ(H5N1)ウイルス感染者が複数確認された.3 つの感染群が報告され,患者数は 8 例で,軽症疾患もみられたものの死亡率は 50%であった.この集団発生は,クレード 2 の H5N1 ウイルスによって引き起され,抗ウイルス抵抗性は確認されなかった.

  • 胎児パルス酸素飽和度測定と帝王切開
    Fetal Pulse Oximetry and Cesarean Delivery

    この胎児パルス酸素飽和度測定の無作為化試験では,医師に酸素飽和度測定の結果を知らせた群と知らせなかった群で,帝王切開率(全体,または安心できない胎児心拍数の適応で)や出生時の新生児の状態に有意差は認められなかった.この結果は,分娩中の女性に対する胎児パルス酸素飽和度測定を支持するものではない.

  • 急性冠症候群患者に対するビバリルジン
    Bivalirudin for Patients with Acute Coronary Syndromes

    この試験では,早期侵襲的アプローチを受ける急性冠症候群患者を,ヘパリンまたはエノキサパリン+GP IIb/IIIa 阻害薬,ビバリルジン+GP IIb/IIIa 阻害薬,またはビバリルジン単独による治療のいずれかに無作為に割り付けた.30 日の時点での虚血イベントの割合は 3 群すべてで同程度であったが,重大な出血はビバリルジン単独投与群で有意に低かった.この試験により,ビバリルジンの単独投与は,出血リスクの低下と関連するものの,有効性は標準的治療と同程度である可能性が示唆される.ビバリルジンを単独で投与する場合には,チエノピリジンによる前治療が必要であると考えられる.

MEDICAL EDUCATION

  • 臨床診断における推論能力を強化するための教育戦略
    Educational Strategies to Promote Clinical Diagnostic Reasoning

    この論文では,医師が,臨床環境において論理的に推論することをどのように学ぶかを検討し,学生が強力な診断推論能力を身につけるために,指導医が利用できる実践的アプローチを紹介している.

CURRENT CONCEPTS

  • 喘息の蔓延
    The Asthma Epidemic

    この総説では,欧米諸国におけるここ数十年間の喘息の有病率の上昇に関するデータを調査し,有病率が安定状態に達したという証拠を見出している.著者らは,大気汚染,肥満,食事,幼少時の曝露も含めた感染・抗菌薬・アレルゲンへの曝露といった要因の,考えられる因果関係を示す所見を調査している.もっとも強く支持される予防策は,喫煙への受動的・能動的曝露を避けることである.

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • 新たに高血圧を発症した 35 歳の妊婦
    A 35-Year-Old Pregnant Woman with New Hypertension

    2 度目の妊娠中である 35 歳の女性に,妊娠 17 週目で高血圧症と糖尿が認められた.薬物療法にもかかわらずそれらは持続し,女性は入院した.女性は,最初の妊娠中に妊娠糖尿病を発症していた.血清電解質は,カリウム値が 2.6 mmol/L である以外は正常であった.追加の臨床検査ならびに診断検査が行われた.

CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH

  • 神経毒性と加齢の関連性
    A Link between Neurotoxicity and Aging

    β アミロイドペプチドの神経毒性を調節する分子経路が明らかにされつつある.それらは,加齢を調節する別の経路により調節されている.