The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

Share

RSS

日本語アブストラクト

April 12, 2001 Vol. 344 No. 15

痴呆発症後の生存期間の再評価
A Reevaluation of the Duration of Survival after the Onset of Dementia

C. WOLFSON AND OTHERS

背景

痴呆は平均余命を縮める;痴呆発症後の生存期間は,その中央値の推定で 5 ~ 9.3 年間である.しかし,痴呆である人々を対象とした先行研究では,研究に含める前に死亡した急速進行性痴呆の人々を考慮しないために,生存に対する痴呆の悪影響が過小評価されている可能性があったかもしれない(これを期間バイアスと呼ぶ).

方 法

この研究では,健康と加齢に関するカナダ試験(the Canadian Study of Health and Aging)のデータを用いて,痴呆の症状が発現してからの生存期間を推定した;推定値は期間バイアスで補正した.カナダ全国から無作為に抽出した 65 歳以上の 10,263 例の対象者に対して,認知障害のスクリーニングを行った.痴呆のある対象者に対しては,その発症日を確認して,5 年間にわたる追跡調査を実施した.

結 果

アルツハイマー病と考えられた 396 例,アルツハイマー病の可能性のある 252 例,および血管性痴呆の 173 例から成る 821 例の対象者のデータを解析した.全体では,補正なしの生存期間の中央値は 6.6 年間(95%信頼区間,6.2 ~ 7.1)であった.期間バイアスによる補正を加えると,この生存期間の中央値の推定は 3.3 年間(95%信頼区間,2.7 ~ 4.0)になった.それぞれの対象者群の生存期間の中央値は,アルツハイマー病と考えられた対象者が 3.1 年間,アルツハイマー病の可能性のある対象者が 3.5 年間,血管性痴呆の対象者が 3.3 年間であった.

結 論

痴呆発症後の生存期間の中央値は,これまでに推定されている値よりもはるかに短い.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2001; 344 : 1111 - 6. )