April 26, 2001 Vol. 344 No. 17
小児および青年の不安障害の治療におけるフルボキサミン
Fluvoxamine for the Treatment of Anxiety Disorders in Children and Adolescents
THE RESEARCH UNIT ON PEDIATRIC PSYCHOPHARMACOLOGY ANXIETY STUDY GROUP
セロトニンの再取込みを選択的に阻害する薬剤は,成人の気分および不安障害の治療には有効であるが,小児の不安障害に対するセロトニン再取込み阻害薬の安全性と有効性の評価には,限られたデータしかない.
6~17 歳の小児 128 例を対象として検討した;対象は,社会恐怖,分離不安障害,全般性不安障害の基準に合致し,3 週間の心理療法を受けても改善が認められなかった小児であった.これらの小児を,フルボキサミン(1 日の最高用量 300 mg)またはプラセボの 8 週間投与に無作為に割り付け,不安および障害の程度を評価するために設計された評価尺度を用いて評価した.
小児不安評価尺度(Pediatric Anxiety Rating Scale)で測定した不安症状(スコアのとりうる範囲は 0~25 で,スコアが高くなるほど不安が大きいことを示す)は,フルボキサミン群の小児では平均(±SD)で 9.7±6.9 ポイント低下したのに対して,プラセボ群では 3.1±4.8 ポイント低下した(p<0.001).臨床全般印象–改善尺度(Clinical Global Impression–Improvement scale)では,フルボキサミン群で 63 例中 48 例(76%)に治療への反応(スコアが 4 未満に低下)が認められたのに対して,プラセボ群では 65 例中 19 例(29%)に認められた(p<0.001).有害事象の発現のために治療が中止された小児は,フルボキサミン群では 5 例(8%)であったのに対して,プラセボ群では 1 例(2%)であった.
フルボキサミンは,小児および青年の社会恐怖,分離不安障害,全般性不安障害に有効な治療の一つである.