耐糖能異常のある被験者における生活習慣変更による 2 型糖尿病の予防
Prevention of Type 2 Diabetes Mellitus by Changes in Lifestyle among Subjects with Impaired Glucose Tolerance
J. TUOMILEHTO AND OTHERS
2 型糖尿病はますますよくみかけるようになってきたが,その第一の理由は,座りがちな生活習慣と肥満が増加したことである.2 型糖尿病のリスクが高い被験者の生活習慣を変えるような介入を行うことによって,2 型糖尿病の予防が可能かどうかについてはわかっていない.
耐糖能異常が認められた中年の体重過多の被験者 522 例(男性 172 例,女性 350 例;平均年齢,55 歳;平均体格指数 [BMI:体重 {kg} を身長 {m} の二乗で割った値],31)を,介入群と対照群のいずれかに無作為に割付けた.介入群の各被験者には,体重,脂肪の総摂取量,および飽和脂肪の摂取量を減らし,食物繊維の摂取量と身体活動をふやすことを目的としたカウンセリングを個別に行った.経口ブドウ糖負荷試験を 1 年間隔で実施した;糖尿病の診断は,この試験を追試して確認した.追跡調査の平均期間は 3.2 年間であった.
試験の開始時から 1 年目終了時までの,体重の平均(±SD)減少量は,介入群が 4.2±5.1 kg,対照群が 0.8±3.7 kg であった;2 年目終了時までの正味の減少量は,介入群が 3.5±5.5 kg,対照群が 0.8±4.4 kg であった(1 年目終了時および 2 年目終了時までのどちらの群間比較でも p<0.001).糖尿病の 4 年累積発症率は,介入群が 11%(95%信頼区間,6~15%),対照群が 23%(95%信頼区間,17~29%)であった.試験の全期間を通してみてみると,介入群では糖尿病のリスクが 58%低下した(p<0.001).糖尿病の発症率の低下は,生活習慣の変更に直接関連したものであった.
2 型糖尿病は,高リスク被験者の生活習慣を変更させることによって予防することができる.