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January 25, 2001 Vol. 344 No. 4

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糖尿病性ケトアシドーシスの小児における脳浮腫の危険因子
Risk Factors for Cerebral Edema in Children with Diabetic Ketoacidosis

N. GLASER AND OTHERS

背景

脳浮腫は,小児の糖尿病性ケトアシドーシスの,まれではあるが,予後に重大な影響を及ぼす合併症である.しかし,この合併症の危険因子は明らかにされていない.

方 法

この多施設共同研究では,15 年間の研究期間内に,糖尿病性ケトアシドーシスによって入院し,脳浮腫を合併していた 61 例の小児を同定した.さらに,糖尿病性ケトアシドーシスではあったものの脳浮腫が発現していなかった小児の二つの患者集団も同定した:この 2 つの患者集団は,無作為に選択した 181 例の小児と,脳浮腫群の小児と診断確定時の年齢,糖尿病の発症(すでに診断が確定していた糖尿病か,それとも新たに診断された糖尿病か),治療前の血糖値,および治療前の静脈血 pH をマッチさせた 174 例の小児であった.ロジスティック回帰を用いて,診断確定時の人口統計学的特性と生化学変数に関しては 3 群で比較し,治療介入と治療中の生化学変数の値の変化に関してはマッチさせた 2 群で比較した.

結 果

脳浮腫群と無作為に選択した対照群の小児の比較では,脳浮腫は,治療前の動脈血の二酸化炭素分圧が低値であること(7.8 mmHg [1 SD に相当] 下降するごとの脳浮腫の相対リスク,3.4;95%信頼区間,1.9~6.3;p<0.001),および治療前の血清中尿素窒素濃度が高値であること(9 mg/dL [3.2 mmol/L] [1 SD に相当] 上昇するごとの脳浮腫の相対リスク,1.7;95%信頼区間,1.2~2.5;p=0.003)と有意に関連していることが示された.脳浮腫の小児とマッチさせた対照群の小児との比較でも,脳浮腫は,動脈血二酸化炭素分圧の低値および血清尿素窒素濃度の高値と関連することが示された.治療変数については,他の共変量で補正すると,重炭酸塩による治療においてのみ脳浮腫との関連が認められた(相対リスク,4.2;95%信頼区間,1.5~12.1;p=0.008).

結 論

糖尿病性ケトアシドーシスの小児では,受診時の動脈血二酸化炭素分圧が低く血清尿素窒素濃度が高かった例と,重炭酸塩の治療を受けた例で,脳浮腫のリスクが上昇する.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2001; 344 : 264 - 9. )