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February 15, 2001 Vol. 344 No. 7

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検出可能なウイルス血症のある HIV 感染患者において抗レトロウイルス薬の併用療法を中止したときのウイルス学的および免疫学的な結果
Virologic and Immunologic Consequences of Discontinuing Combination ART in HIV Patients with Detectable Viremia

S.G. DEEKS AND OTHERS

背景

ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症の患者の多くは,強力な抗レトロウイルス薬を用いた薬物療法では HIV の複製を完全には抑えることができない.これらの患者において,このような薬物療法を中止することの影響についてはわかっていない.

方 法

抗レトロウイルス薬の併用療法の実施中に血漿中の HIV の RNA 量が 2,500 コピー/mL を超える 16 例の患者を,2:1 の比で,併用療法の中止または継続に無作為に割付けた.そして,血漿中の HIV RNA 量,CD4 細胞数,および薬剤感受性を毎週測定した.さらに,ウイルスの複製能を試験開始時と試験 12 週目に測定した.

結 果

治療を 12 週間中止したことによって,CD4 細胞数が中央値で 128 細胞/mm3 減少し,血漿中の HIV RNA 量が 0.84 log コピー/mL 増加した.試験組み入れ時に薬剤抵抗性が認められた患者のすべてで,治療の中止後 16 週間以内に,ウイルスが HIV -プロテアーゼ阻害薬に対する感受性を取りもどした.薬剤感受性は,治療を中止してから中央値で 6 週目に上昇し始め,血漿中の HIV RNA 量の増加および CD4 細胞数の減少との時間的な関連が認められた.組換えウイルスアッセイによって測定したウイルスの複製能は,試験組み入れ時には低かったのが,治療を中止した後に上昇した.複製能を評価することができた 9 例の患者のうちの 5 例では,血漿で薬剤抵抗性を検出できなくなったにもかかわらず,末梢血単核細胞からは薬剤耐性ウイルスが培養された.治療を継続して実施していた患者では,血漿中の HIV RNA 量,CD4 細胞数,および薬剤感受性は安定したままで変動は認められなかった.

結 論

抗レトロウイルス薬の治療は,薬剤感受性が低下してくるにもかかわらず,免疫学的およびウイルス学的な有益性を提供しうる.この有益性は,抗ウイルス薬の活性が持続していることと,複製能が低下したウイルス集団の維持として認められる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2001; 344 : 472 - 80. )