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February 15, 2001 Vol. 344 No. 7

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腋窩多汗症(過剰発汗)に対するボツリヌス毒素 A
Botulinum Toxin A for Axillary Hyperhidrosis (Excessive Sweating)

M. HECKMANN, A.O. CEBALLOS-BAUMANN, AND G. PLEWIG

背景

原発性の局所性多汗症の治療はしばしば不充分である.ボツリヌス毒素 A は,汗腺の交感神経伝達に介在しているアセチルコリンの放出を遮断することによって,過剰な発汗を阻止することが可能である.

方 法

腋窩多汗症の患者 145 例を対象として,ボツリヌス毒素 A の多施設共同試験を実施した.これらの患者は,汗の生成速度が 50 mg/分を超え,1 年以上,塩化アルミニウムの局所療法に反応しなかった原発性の腋窩多汗症であった.これらの各患者に,無作為二重盲検法にて,片方の腋窩にボツリヌス毒素 A(200 単位)を,もう片方の腋窩にはプラセボを注入した(本試験で使用したボツリヌス毒素 A の製剤の単位は他の製剤の単位とは一致していない).2 週間後に,治療割付けが明らかになった後に,プラセボを投与した腋窩に,ボツリヌス毒素 A を 100 単位注入した.汗の生成速度の変化は重量分析で測定した.

結 果

平均(±SD)の汗の生成速度は,試験開始時には 192±136 mg/分であった.この生成速度は,初回注入後 2 週間目には,ボツリヌス毒素 A が投与された腋窩では 24±27 mg/分であったのに対して,プラセボが投与された腋窩では 144±113 mg/分であった(p<0.001).プラセボが投与された腋窩にボツリヌス毒素 A を 100 単位注入すると,その腋窩の平均(±SD)の汗の生成速度は 32±39 mg/分に低下した(p<0.001).ボツリヌス毒素 A を 100 単位注入してから 24 週目の平均(±SD)の汗の生成速度(解析対象は 24 週目に汗の生成速度が測定された 136 例)も,試験開始時の速度よりも低値のままであった.すなわち,ボツリヌス毒素 A の 200 単位を投与された腋窩では 67±66 mg/分,プラセボとボツリヌス毒素 A の 100 単位が投与された腋窩では 65±64 mg/分であった.この治療は十分に耐容できるものであった;治療を受けた患者の 98%が,他の人にもこの治療を勧めたいと回答していた.

結 論

ボツリヌス毒素 A の皮内投与は,重症の腋窩多汗症に対して,有効かつ安全な治療法の一つである.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2001; 344 : 488 - 93. )