The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

October 4, 2001 Vol. 345 No. 14

多剤耐性大腸菌(Escherichia coli)の一つのクローン群によって発生した尿路感染症の広域な分布
Widespread Distribution of Urinary Tract Infections Caused by a Multidrug-Resistant Escherichia coli Clonal Group

A.R. MANGES AND OTHERS

背景

大腸菌(Escherichia coli)の抗菌薬耐性株の保菌率が上昇しているため,尿路感染症の管理が複雑になっている.市中(院外)で感染した尿路感染症の女性から分離されたトリメトプリム・スルファメトキサゾール耐性 E. Coli 株について,そのクローン組成を検討した.

方 法

カリフォルニア州の大学地域社会において,尿路感染症の女性から前向きに収集した E. Coli の分離株について,抗菌薬に対する感受性,O : H 血清型,DNA フィンガープリント,パルスフィールドゲル電気泳動のパターン,および菌力因子の評価を行った.抗菌薬耐性クローンの保菌率および特徴を,この分離株群と,ミシンガン州およびミネソタ州の比較コ ホートから得られた分離株群において評価した.

結 果

カリフォルニア州のコホートから分離された 255 株の E. coli のうち 55 株(22%)が,他の抗菌薬と同様に,トリメトプリム・スルファメトキサゾールにも耐性化していた.DNAフィンガープリントには共通のパターンが認められ,55 株のトリメトプリム・スルファメトキサゾール耐性分離株のうちの 28 株(51%),および無作為に抽出した 50 株のトリメトプリム・スルファメトキサゾール感受性分離株のうちの 2 株(4%)において,これらの分離株が同じクローン群(クローン群 A)に属することを示唆した(p<0.001).さらに,ミシガン州のコホートから分離された 29 株の耐性株のうちの 11 株(38%),およびミネソタ州のコホートから分離された 18 株の耐性株のうちの 7 株(39%)が,クローン群 A に属するものであった.クローン群 A のほとんどの分離株は,血清型が O11 : H(nt)または O77 : H(nt)であり,菌力因子,抗菌薬に対する感受性,および電気泳動特徴のパターンが類似していた.

結 論

地理的に異なった三つの地域社会において,トリメトプリム・スルファメトキサゾール耐性 E. Coli 株によって発症した女性の市中尿路感染症の半数近くが,単一のクローン群によって説明されるものであった.この E. Coli の A クローン群の広域な分布と高い保菌率は,公衆衛生上,大きな意味をもっている.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2001; 345 : 1007 - 13. )