新生児スクリーニング検査と神経芽細胞腫による死亡率
Screening of Infants and Mortality Due to Neuroblastoma
W.G. WOODS AND OTHERS
神経芽細胞腫は,小児期早期に発生するもっとも頻度の高い頭蓋外固形腫瘍であり,尿中のカテコールアミンの検出により前臨床期の段階で同定できる.しかし,定期的な神経芽細胞腫のスクリーニング検査が,この疾患による死亡率を低下させるかどうかは不明である.
われわれは,5 年間(1989 年 5 月 1 日~1994 年 4 月 30 日)に,カナダのケベック州で生まれた小児計 476,654 例に,3 週齢時および 6 ヵ月齢時の神経芽細胞腫スクリーニング検査を両親に勧めた.参加率は 92%であった.神経芽細胞腫による死亡率を決定し,同時期に生まれた複数のスクリーニング検査未実施対照群と比較した.
ケベックコホートの 8 歳未満の小児では,神経芽細胞腫による死亡が 22 件あった;神経芽細胞腫による累積(±SE)死亡率は,9 年間で小児 100,000 例当り 4.78±1.14 であった.ケベックコホートの神経芽細胞腫による標準化死亡比は,カナダのオンタリオ州の対照群と比較した場合は 1.11(95%信頼区間,0.64~1.92);ミネソタ州の対照群と比較した場合は 0.90(95%信頼区間,0.48~1.70);フロリダ州の対照群と比較した場合は 1.40(95%信頼区間,0.81~2.41);Greater Delaware Valley の対照群と比較した場合は 0.96(95%信頼区間,0.56~1.66):カナダのケベック州以外の州と比較すると,ケベックコホートの標準化死亡比は,1.39(95%信頼区間,0.85~2.30)であった.スクリーニング計画を開始する前にケベック州で生まれたコホートと比較すると,オッズ比は 0.98(95%信頼区間,0.54~1.77)であった.
神経芽細胞腫の新生児スクリーニング検査が,この疾患による死亡率を低下させることはないと考えられる.