The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

April 4, 2002 Vol. 346 No. 14

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

新生児スクリーニング検査と神経芽細胞腫による死亡率
Screening of Infants and Mortality Due to Neuroblastoma

W.G. WOODS AND OTHERS

背景

神経芽細胞腫は,小児期早期に発生するもっとも頻度の高い頭蓋外固形腫瘍であり,尿中のカテコールアミンの検出により前臨床期の段階で同定できる.しかし,定期的な神経芽細胞腫のスクリーニング検査が,この疾患による死亡率を低下させるかどうかは不明である.

方 法

われわれは,5 年間(1989 年 5 月 1 日~1994 年 4 月 30 日)に,カナダのケベック州で生まれた小児計 476,654 例に,3 週齢時および 6 ヵ月齢時の神経芽細胞腫スクリーニング検査を両親に勧めた.参加率は 92%であった.神経芽細胞腫による死亡率を決定し,同時期に生まれた複数のスクリーニング検査未実施対照群と比較した.

結 果

ケベックコホートの 8 歳未満の小児では,神経芽細胞腫による死亡が 22 件あった;神経芽細胞腫による累積(±SE)死亡率は,9 年間で小児 100,000 例当り 4.78±1.14 であった.ケベックコホートの神経芽細胞腫による標準化死亡比は,カナダのオンタリオ州の対照群と比較した場合は 1.11(95%信頼区間,0.64~1.92);ミネソタ州の対照群と比較した場合は 0.90(95%信頼区間,0.48~1.70);フロリダ州の対照群と比較した場合は 1.40(95%信頼区間,0.81~2.41);Greater Delaware Valley の対照群と比較した場合は 0.96(95%信頼区間,0.56~1.66):カナダのケベック州以外の州と比較すると,ケベックコホートの標準化死亡比は,1.39(95%信頼区間,0.85~2.30)であった.スクリーニング計画を開始する前にケベック州で生まれたコホートと比較すると,オッズ比は 0.98(95%信頼区間,0.54~1.77)であった.

結 論

神経芽細胞腫の新生児スクリーニング検査が,この疾患による死亡率を低下させることはないと考えられる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2002; 346 : 1041 - 6. )