March 21, 2002 Vol. 346 No. 12
心筋梗塞を起し駆出率が低下した患者に対する除細動器の予防的植込み
Prophylactic Implantation of a Defibrillator in Patients with Myocardial Infarction and Reduced Ejection Fraction
A.J. MOSS AND OTHERS
心筋梗塞後,左室機能が低下している患者は,生命を脅かす心室性不整脈を起す危険性がある.今回の無作為試験は,このような患者の生存率に対する植込み型除細動器の効果を評価するためにデザインした.
4 年間にわたり,心筋梗塞をこれまでに起したことがあり左室駆出率が 0.30 以下の患者 1,232 例を登録した.患者を,植込み型除細動器の使用(742 例)と従来の薬物療法(490 例)に 3:2 の比で無作為に割付けた.リスク層別化のための侵襲的電気生理学的検査は必要としなかった.あらゆる原因による死亡をエンドポイントとした.
ベースラインの臨床的特徴および最終追跡調査来院時の薬剤使用率は 2 治療群でほぼ同じであった.平均追跡調査期間 20 ヵ月間で,死亡率は,従来療法群で 19.8%,除細動器群で 14.2%であった.従来療法群と比較して,除細動器群では,あらゆる原因による死亡のリスクのハザード比は 0.69 であった(95%信頼区間,0.51~0.93;p=0.016).生存率に対する除細動器療法の効果は,年齢,性別,駆出率,ニューヨーク心臓協会分類,および QRS 間隔に基づき層別化した部分集団分析においても,ほぼ同じであった.
過去に心筋梗塞を起し左室機能不全が進行している患者では,予防的に除細動器を植込むことにより生存率が改善されるため,この方法を推奨療法として検討すべきである.