March 21, 2002 Vol. 346 No. 12
入院患者および外来患者に対する老年医学的評価・管理に関する比較対照試験
A Controlled Trial of Inpatient and Outpatient Geriatric Evaluation and Management
H.J. COHEN AND OTHERS
過去 20 年にわたり,入院病棟と外来診療部はともに老年医学的評価・管理のためのプログラムを開発してきた.しかし,生存および機能の状態に対するこれらの効果は,いまだ明らかでない.
われわれは,11 ヵ所の退役軍人医療センターに入院している年齢 65 歳以上の虚弱患者を対象に,無作為試験を行った.患者の状態が安定したあと,2×2 の階乗法に従って,老人入院病棟または一般入院病棟のいずれかでケアを受けたあと,続いて老人外来または一般外来のいずれかで診療を受けるよう,患者を無作為に割付けた.介入には,退役軍人規定および公表されたガイドラインに従って老年医学的評価・管理を行ったチームが関与した.主要転帰は,無作為化 1 年後の生存および健康に関連した QOL で,医学的転帰検査・36 項目の簡略一般健康状態調査(the Medical Outcomes Study 36-Item Short-Form General Health Survey: SF-36)を用いて測定した.副次的転帰は,日常生活動作を行う能力,身体的動作,医療施設の利用および費用であった.
計 1,388 例の患者を登録し,追跡した.入院患者および外来患者への老年医学的介入はいずれも,死亡率に有意な効果を示さず(全体で 1 年後 21%),この 2 種の介入法のあいだに相乗効果はみられなかった.退院時,老人入院病棟に割当てられた患者では,一般入院病棟に割当てられた患者に比べて,SF-36 の 8 項目のうち 4 項目の得点,日常生活動作および身体的動作が有意に大きな改善を示した.1 年後,老人外来に割当てられた患者は,一般外来に割当てられた患者に比べ,退院時の得点補正後でも,SF-36 の精神保健項目の得点が高かった.1 年後の総費用は,介入診療群と一般診療群ではほぼ同じであった.
この比較対照試験では,老人入院病棟および老人外来診療でのケアは,生存率に有意な効果を及ぼさなかった.入院患者に対する老年医学的評価・管理では機能の低下に有意な減少,および外来患者に対する老年医学的評価・管理では精神保健に改善が認められ,いずれも費用の増加はなかった.