November 7, 2002 Vol. 347 No. 19
麻疹・流行性耳下腺炎・風疹の予防接種と自閉症に関する住民ベースの研究
A Population-Based Study of Measles, Mumps, and Rubella Vaccination and Autism
K.M. MADSEN AND OTHERS
麻疹・流行性耳下腺炎・風疹(MMR)に対する予防接種が,自閉症の原因になると示唆されている.
1991 年 1 月から 1998 年 12 月までにデンマークで出生したすべての小児を対象に,後ろ向きコホート研究を行った.コホートは,デンマーク住民登録システムのデータに基づいて選択した.この登録システムでは,デンマークのすべての生産児と新規住民に独自の識別番号を割り当てている.MMR 予防接種の状況は,デンマーク厚生省から得た.また,小児の自閉症の状態についての情報は,デンマーク精神医学中央登録から得た.これには,デンマークの精神病院と外来診療所で患者が受けたすべての診断の情報が含まれている.デンマーク医療出生登録,国立病院登録,デンマーク統計データから交絡の可能性のある要因についての情報も得た.
コホートの小児 537,303 人(2,129,864 人-年に相当)のうち,440,655 人(82.0%)が,MMR ワクチンの接種を受けた.自閉症障害の診断を受けた小児 316 人と,その他の自閉症スペクトル障害と診断された小児 422 人を同定した.交絡の可能性がある要因を補正後,ワクチン接種小児群における自閉症障害の相対危険度は,ワクチン非接種群と比べると 0.92(95%信頼区間 0.68~1.24)であり,自閉症スペクトル障害の相対危険度は,0.83(95%信頼区間 0.65~1.07)であった.ワクチン接種時の年齢,ワクチンを接種してからの時間,ワクチン接種日と自閉症障害の発現とのあいだにいずれも関連性はなかった.
この研究は,MMR 予防接種が自閉症の原因であるという仮説に反論する強力な根拠となる.