November 7, 2002 Vol. 347 No. 19
アスピリン感受性鼻副鼻腔炎における鼻粘膜炎症細胞でのロイコトリエン受容体の発現
Leukotriene-Receptor Expression on Nasal Mucosal Inflammatory Cells in Aspirin-Sensitive Rhinosinusitis
A.R. SOUSA, A. PARIKH, G. SCADDING, C.J. CORRIGAN, AND T.H. LEE
アスピリン感受性の喘息患者は,アスピリン耐容性喘息患者よりも,システイニルロイコトリエンの産生がより多く,吸入システイニルロイコトリエンの作用に対する気道反応性の亢進がより著しい.われわれは,気道反応性の亢進が,標的器官の炎症細胞におけるシステイニルロイコトリエン受容体 CysLT1 の発現上昇を反映しており,この発現がアスピリン脱感作によって下方制御されるという仮説を立てた.
慢性鼻副鼻腔炎と鼻ポリープのあるアスピリン感受性患者 22 例およびアスピリン非感受性患者 12 例から鼻生検標本を得た.追加標本を,リジンアスピリンまたはプラセボの 2 週間(それぞれ患者 5 例および 4 例)あるいは 6 ヵ月(それぞれ患者 5 例および 4 例)鼻腔内投与後にアスピリン感受性患者の一部から得た.鼻粘膜下組織切片における単位面積当りの CysLT1 およびロイコトリエン B4(LTB4)受容体を発現している白血球数を,免疫組織化学法によって測定した.
CysLT1 受容体を発現している細胞の絶対数は,アスピリン感受性患者においてアスピリン非感受性患者よりも有意に多かった(中央値,542 細胞/mm2[範囲 148~1390]対 116 細胞/mm2[範囲 40~259];P<0.001).CysLT1 受容体を発現している CD45 +白血球の割合も,アスピリン感受性患者においてより高かった(CD45+白血球の 25%[範囲 4~50]対 CD45+白血球の 5%[範囲 2~11];P<0.001);LTB4 受容体を発現している CD45+白血球の割合には,これら 2 群間で有意差はなかった.脱感作は,CysLT1 を発現している炎症細胞数の減少と関連していた.
慢性鼻副鼻腔炎のあるアスピリン感受性患者において,CysLT1 受容体を発現している鼻炎症性白血球数がアスピリン非感受性患者と比較して増加したことと,アスピリン脱感作後に受容体発現が下方制御されたことは,おそらくアスピリン感受性の病因ならびにアスピリン脱感作機構の基礎となっている.