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August 8, 2002 Vol. 347 No. 6

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脳卒中後の手首・手指の痙縮の治療のためのボツリヌス毒素の筋肉内注射
Intramuscular Injection of Botulinum Toxin for the Treatment of Wrist and Finger Spasticity after a Stroke

A. BRASHEAR AND OTHERS

背景

痙縮は脳卒中の合併症の 1 つで,身体障害を引き起す.A 型ボツリヌス毒素を筋肉内注射することで,脳卒中後に手首・手指の痙縮のある人の障害を減少させられるのかどうかについては明らかでない.

方 法

脳卒中後手首や手指の屈筋緊張が亢進している被験者 126 例を対象に,ボツリヌス毒素 A の 1 回注射(200~240 単位)の有効性と安全性を評価するため,無作為二重盲検プラセボ対照多施設共同試験を実施した.主要転帰評価は,6 週間後の 4 領域:個人衛生,着衣,疼痛および上肢の位置に関する自己申告による障害とした(障害なし~重度の障害までの 4 点評価スケールによる);ベースラインで各被験者は,主な治療対象として,これらの領域から中等度~重度の障害のある領域を 1 つ選択した.

結 果

ボツリヌス毒素 A 投与群は,12 週間の追跡調査で来院したさいはいつも,プラセボ投与群と比較して手首・手指の屈筋緊張の改善が大きかった(すべての比較で P<0.001).ボツリヌス毒素 A 投与群では,4,6,8,12 週後に主な治療対象でより大きな改善がみられた(それぞれ P<0.001,P<0.001,P=0.03,P=0.02);6 週後には,ボツリヌス毒素群の 64 例中 40 例(62%)が,プラセボ群では 62 例中 17 例(27%)が,主な治療対象において,身体障害評価スケールで少なくとも 1 点改善したことを報告した(P<0.001).ボツリヌス毒素 A の注射に関連する重大な有害事象はなかった.

結 論

ボツリヌス毒素 A の筋肉内注射は,脳卒中を起した人の手首・手指の筋肉の痙縮と,それに伴う身体障害を減少させる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2002; 347 : 395 - 400. )