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August 8, 2002 Vol. 347 No. 6

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侵襲性アスペルギルス症の初期治療におけるボリコナゾールとアムホテリシン B の比較
Voriconazole versus Amphotericin B for Primary Therapy of Invasive Aspergillosis

R. HERBRECHT AND OTHERS

背景

ボリコナゾールはアスペルギルス種に対して有効な広いスペクトルをもつトリアゾールである.われわれは,侵襲性アスペルギルス症の初期治療におけるボリコナゾールとアムホテリシン B を比較するため無作為試験を実施した.

方 法

この無作為非盲検試験では,患者は静脈内ボリコナゾール投与(1 日目に 6 mg/kg 体重を 2 用量,続いて 4 mg/kg 体重を 1 日 2 回最低 7 日間投与)とそれに続くボリコナゾール 200 mg を 1 日 2 回の経口投与,あるいは静脈内アムホテリシン B デオキシコール酸塩投与(1 日 1~1.5 mg/kg 体重)のいずれかを受けた.他の承認済みの抗真菌治療は,初期治療が失敗した場合あるいは患者が最初に使用した薬剤に対し不耐性をもつ場合に認められた.完全奏効または部分奏効を成功転帰と判断した.

結 果

アスペルギルス症が確定した,あるいはその可能性のある,ボリコナゾール群患者 144 例とアムホテリシン B 群患者 133 例の全員が最低 1 用量の治療薬を投与された.ほとんどの患者では,基礎疾患は同種造血細胞移植,急性白血病,または他の血液疾患であった.12 週目ではボリコナゾール群患者の 52.8%(完全奏効:20.8%,部分奏効:31.9%)とアムホテリシン B 群患者の 31.6%(完全奏効:16.5%,部分奏効:15.0%;絶対差 21.2 パーセント・ポイント;95%信頼区間 10.4~32.9)で成功転帰を示した.12 週での生存率は,ボリコナゾール群では 70.8%,アムホテリシン B 群では 57.9%であった(ハザード比 0.59;95%信頼区間 0.40~0.88).ボリコナゾールで治療した患者では,重症の薬物関連有害事象が有意に少なかったが,一過性の視覚障害が多くみられた(患者の 44.8%で発現).

結 論

侵襲性アスペルギルス症患者では,ボリコナゾールを用いた初期治療は,アムホテリシン B による初期治療の標準療法に比べてよりよい奏効を示し,生存率を改善し,重症な副作用が少ない結果となった.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2002; 347 : 408 - 15. )