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July 11, 2002 Vol. 347 No. 2

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変形性膝関節症に対する関節鏡視下手術の比較対照試験
A Controlled Trial of Arthroscopic Surgery for Osteoarthritis of the Knee

J.B. MOSELEY AND OTHERS

背景

多くの患者が,変形性関節症に対する膝の関節鏡検査を受けたあとに症状が改善したと報告されているが,この方法がどうしてこのような結果をもたらすのかは不明である.われわれは,変形性膝関節症に対する関節鏡検査の効果を評価するために無作為プラセボ対照試験を実施した.

方 法

変形性膝関節症患者全 180 例を,関節鏡視下切除,関節鏡視下洗浄あるいはプラセボ(疑似)手術に無作為に割付けた.プラセボ群の患者には,皮膚切開を行い関節鏡の挿入を行わずに切除を真似た操作を行った.患者と転帰の評価者は,治療群の割付けに関しては盲検的であった.転帰は,24 ヵ月間にわたる複数の時点で,5 つの自己申告スコア(痛みに関する尺度が 3 つ,機能に関する尺度が 2 つ)および歩行と階段昇降に関する客観的検査 1 つを用いて評価された.合計で 165 例の患者が試験を完了した.

結 果

どの時点においても,プラセボ群と比較して痛みの減少あるいは機能の改善が報告された処置群はなかった.たとえば,膝特異的疼痛スケール(幅 0~100,高いスコアほど痛みが強いことを示す)に関する平均点(±SD)は,プラセボ群,洗浄群,切除群で同様であった:1 年の時点ではそれぞれ 48.9±21.9,54.8±19.8,51.7±22.4(プラセボ群と洗浄群間では P=0.14;プラセボ群と切除群間では P=0.51)であり,2 年の時点ではそれぞれ 51.6±23.7,53.7±23.7,51.4±23.2 であった(それぞれ P=0.64,P=0.96).さらに,プラセボ群と処置群間の差に関する 95%信頼区間から,なんらかの臨床的に意味のある差があることは否定される.

結 論

変形性膝関節症患者を対象としたこの比較対照試験において,関節鏡視下洗浄や関節鏡視下切除後の転帰はプラセボ手術後の転帰と変りがなかった.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2002; 347 : 81 - 8. )