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April 3, 2003 Vol. 348 No. 14

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中等度から重度のアルツハイマー病におけるメマンチン
Memantine in Moderate-to-Severe Alzheimer's Disease

B. Reisberg and Others

背景

グルタミン酸による N-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体の過剰刺激が,神経変性疾患に関係している.われわれは,アルツハイマー病治療のために,NMDA 拮抗薬メマンチン(memantine)について検討した.

方 法

中等度から重度のアルツハイマー病患者を,28 週間のプラセボあるいは 1 日 20 mg のメマンチン投与のいずれかに無作為に割付けた.効果に関する主要変数は,介護者および患者との面接による臨床症状の評価(Clinician's Interview-Based Impression of Change Plus Caregiver Input:CIBIC-Plus)と,重度痴呆のために修正されたアルツハイマー病共同研究の日常生活動作の評価(Alzheimer's Disease Cooperative Study Activities of Daily Living Inventory modified for severe dementia: ADCS-ADLsev)であった.効果に関する副次的エンドポイントには,重度障害検査(Severe Impairment Battery)やそのほかの認知,機能,行動に関する指標が含まれた.ベースラインとエンドポイントとの治療差を評価した.欠損値については,以前の測定値のうち直近の値を代入した(直近の測定値で代用した場合).また,欠損値を置換せずに,測定値のみを含む結果の解析も行った(観察症例での解析).

結 果

米国の 32 施設から患者 252 例(女性 67%;平均年齢 76 歳)を組み入れた.そのうち 181 例(72%)は試験を終了し,28 週目に評価された.患者 71 例は,早期に治療を中止した(42 例はプラセボ群,29 例はメマンチン群).CIBIC-Plus(直近の測定値で代用した場合の P=0.06,観察症例での解析の P=0.03),ADCS-ADLsev(直近の測定値で代用した場合の P=0.02,観察症例での解析の P=0.003),重度障害検査(直近の測定値で代用した場合の P<0.001,観察症例での解析の P=0.002)の結果によると,メマンチン投与患者はプラセボ投与患者よりも転帰が優れていた.メマンチンは,有害事象の発現率と有意な関連はなかった.

結 論

抗グルタミン酸薬治療により,中等度から重度のアルツハイマー病における臨床症状の悪化が低減した.この疾患は,患者には苦痛で介護者には負担を伴い,他に治療法がない.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2003; 348 : 1333 - 41. )